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竜を継ぐ者(28)ファーストキスは星空の下で①



 体温循環が始まり、身体を密着させた箇所が熱を感じ始める頃には、マズい事にペニスはギンギンに勃起していた。
 どうしたらと焦っていると、美奈が静かに尋ねた。

「ねえ、滝川くん……どうしてキス、してくれたの……?」

 そんな話を振られるとは思わなかったので、少し驚いた。
 眦や頬にしたキスを言っているのだと思うが、真吾は自分でも正直なところ、口づけた理由はわからなかった。

「どうしてかな……君の涙を見るのが辛かったから……かな」
「罪滅ぼし……みたいなもの?」
「違うよ……いや、そうなのかな。ごめん、自分でも良くわかってなくて。気づいたらしてたよ……」

 キスの衝動の原因が涙なのかどうか、その辺りは真吾も良くわかっていなかった。
 だが男である自分は、確かに女性であれば抱けるし、きっとキスもできる。
 だとしても、フッと湧き出る衝動は誰に対してでも起こる訳ではない。言葉にするには難しいこの気持ちは……誰にでも生まれるような感情では、ないと思う。
 そうであるなら、彩夏を抱いた時に彼女にもキスしてたはずだ。キスしたくなったのは多分、美奈だから……。

「……一つだけ言うなら、はじめてなんだ。僕が自分からキスした女の子は……」
「私が……はじめてって……あの、滝川くん……」

 どう受け止めればというような戸惑いに、美奈の瞳が揺れる。
 美奈は気づかないのだろうか。
 気があるのかなとか思いそうなものなのに、気づかないのか?
 美奈は言葉にしなければ、確信を持つ事ができないほど自信のない子なのかも……あまりに察しの悪い美奈に、真吾はそう結論づけるしかない。
 ズルいかもしれないが、美奈がそんな女の子で助かった。

「ごめんね、僕も自分で何故なのか理解できてないんだ……」

 困窮した表情に感じ取ったのか、美奈はそれ以上は聞かないでいてくれた。

「唇には……してくれなかった癖に……」

 思わずホッとしていると、美奈は拗ねたように唇を尖らせた。その表情が堪らなく可愛いくて、胸がキュンと疼いた。

「ただでさえ処女を奪ってしまうのに、ファーストキスまで奪うなんて……」
「奪ってくれて良かったのに!変なところで律儀だよ……滝川くん!」

 美奈のあまりに必死な表情に、抑えていたものが抑えられなくなってしまう。指でクイッと美奈の顎を持ち上げながら、親指の腹で彼女の唇をゆっくりと撫でる。ぷくっとした唇の脹らみ……その柔らかさを知覚すると、真吾は堪らなく口づけたくなった。
 それでも美奈に無理強いをしたくなくて、その欲をギリギリで抑え込む。

「煽ると今からでも……奪うよ。どんなに僕が我慢してると思ってるんだ」

 突然のアゴクイに美奈の顔がカアッと染まる。ドキドキと胸が高鳴るような美奈の表情に、歯止めが利かなくなりそうで怖くなった。

「――いい……奪っていい……」
「他の女の話を聞かされても、応えられないって言われても猶……はじめてが僕でいいって言うの?」

 絡み合う視線に心音が早まる。
 美奈に自分を忘れさせてあげないといけないのに、彼女の唇に口づけたくて堪らなくなる。相反する気持ちに揺れる心に、まるで美奈はお構いなしだ。

「それでも滝川くんがいい。私のはじめてをどうせなら全て奪って……!」

 美しい双眸を切なく揺らめかせて、情熱的にキスを強請る。
 こんな言葉に抗える男がいるだろうか。

「大崎さん……」

 至近距離で美奈と視線が絡み合う。
 もう止まれそうにない。
 美奈に口づけたい。抱きしめて、花のように柔らかそうな唇にキスしたくて堪らない。
 彼女は僕が好きだし、僕も美奈に惹かれてる。
 今の二人を、誰も邪魔はしない。
 ここまで来てしまったのなら、せめてひと時の間だけでも夢を見せてあげたい。
 消えてしまう夢の時間であっても、今だけで良いなら……。

「今だけ――美奈って呼んでいい?」

 心に触れるような微笑みで、真吾は静かに囁いた。
 頷く美奈の眦に、涙がキラリと光る。

「ごめん――まさか泣かれるなんて……」
「違うの、嬉しいの……名前が特別なものになったみたいだから……」
「そう言って貰えるなら、僕も嬉しいよ……美奈」

 美奈はそっと目を閉じた。
 美奈のキス待ち顔が可愛いくて、その顔を良く見たいと思った。それを邪魔する前髪に、そっと手を掛けたその瞬間、弾かれたように美奈が反応し……髪を払う事を、美奈は拒んだ。

小説家になろう・ノクターンノベルズでも連載中です◇










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2018/08/08 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(27)女の子から貰った人生はじめての告白は、酷く苦い味がした②



 でも、ショックだったのだ。
 そんな風に見えるのかなとか、見られてたのかなとか……色々と考えてしまう。

「怒るよ?バカだな……そんな事ないよ。大崎さんは凄く魅力的な女の子だと、僕は思うよ」
「――ホントに?滝川くんの目に、私はそう映ってるの?」

 余程意外だったのか、美奈の顔には色々な感情が浮かんでいた。驚き、喜び、戸惑い――浮かべた涙がどの感情を司っているのか、理解が及ばない程に、コロコロと変化する不思議な表情。
 どこまでこの子は自分に自信が無いのだろうか。
 自分に確固たる自信を持てる人などそうはいないが、美奈は自分の魅力を知らな過ぎると思う。夜空のように綺麗な漆黒の双眸は、誰にでもあるような魅力じゃないのに。

「映ってるよ……大崎さんは、可愛いよ。電車で肩を貸してた時から、僕は君への興奮を抑えるのに必死だったよ。僕が君に対してエッチな気持ちになったのは、欲求不満だとかそういうものじゃない。君の魅力の所為だよ」

 言ってしまってから、真吾は酷く恥ずかしくなった。
 顔が何だか熱い――。
 何を小っ恥ずかしい事を平然と言ってるんだ。バカは僕だ……真吾は心の中で、酷く悶えた。

「僕は……君の目に、そういう事をできる男だと思われてる方が、余程ショックなんだけど……」

 と言うと、腕の中の美奈が焦ったのかビクリとした。

「あ――ご、ごめんなさい!そういうつもりじゃ……違うの……!」

 それならどういうつもりだと問い質したい所だが、必死に謝る美奈が何だか可愛いくて、怒る気も失せてしまう。
 愛の代わりに襲われたと思い込んだ話を聞けば、そこまでしなくても予想はついた。
 レイプの理由が堕児だと信じ切れない美奈は、若さ故の――要するに、結城愛を抱けない|欲求不満《フラストレーション》が、たまたま送っていた美奈に向いたのだと、思い込むしか無かったのだろう。
 本気で拒絶しない理由も、キスにだけは応えてくれる理由も……それだけで全ての謎が胸に落ちた――僕が好きだから……。

「僕さ……女の子に告白されたのって実は、はじめてなんだよね」
「え、本当に?何か意外……」
「意外でもないよ――って言うと少し情けないけど。本当にそういうの、ないんだ。だから、凄く嬉しかった……」

 惹かれた相手に思われていた――それだけでも、夢のように奇跡だ。
 まるで青春の1ページのような奇跡を、自分から手離さなければならない。彩夏に話した時から、真吾は心に決めた事があった。

「けど、ごめん……思いに応えてあげられない……」

 乾きかけてた目が途端に潤むと、美奈は涕泣した。
 咄嗟に肩を抱こうとした手を、真吾はそっと引っ込めた。
 真吾が心に決めた事――それは、堕児騒ぎが収まるまで誰とも付き合わない事だった。誰でも抱くような状況で、彼女を作れば相手を傷つけてしまうかもしれない。
 真吾は美奈の膣《なか》から堕児の死体を回収すると、美奈に堕児を差し出した。グロテスクな生物だった物体を、美奈は泣くのも忘れて茫然と凝視する。

「僕が、君の思いに応えてあげられない理由……」
「これが……付き合えない理由なの……?」
「そうだよ、コレが理由だ……」
「それが理由だって言われても……わからないよ!」
「僕は堕児を殺せる唯一の能力者だって、さっきも言ったよね。コレを殺しまわっている限り、彼女なんて作れない……他の女性を抱く男と、大崎さんだって付き合いたくないだろ?」

 美奈はその言葉に俯くと、手元をジッと見つめた。
 次第に溢れた涙が頬を伝うと、認めるのが嫌だとでも言うように首を横に振る。心の底では美奈も理解していると心づき、その思いに真吾は苦しくなった。
 それでも受け容れ切れないのは、手の届く距離に来た自分を離したくない故の思いなのか――なまじ抱かれてしまってるから余計なのかもしれない。
 心の痛みが美奈への同情によるものなのか、それとも美奈を諦めた事への未練なのか、真吾自信にもそれは、わからなかった。

「これを大崎さんに教えるのは、酷だと思う……」

 美奈の双眸が戸惑いに震え、不安だらけの瞳が自分を見つめた。
 本当は、こんな事は言いたくない。
 でも……こうでも言わないと、美奈が未練を断ち切れそうにないなら、仕方がない。美奈が自分の言葉を理解しながらも、受け容れ切れてない事を、真吾は気づいていた。

「正直……話すのは躊躇するよ。でも――こう言わなければ諦めがつかないなら教えてあげる。僕は君の前に二人、既に堕児を殺す為に女の子を抱いてる。一人は妹だったよ……」

 それを聞かされた美奈の顔が強張り、涙がすぐに溢れて次から次へと落ちていく。相当なショックを受けている事が、見目からも痛いほど伝わってくる。
 切り裂くような痛みを心に感じながら、真吾は続けた。

「わかっただろ、これで……堕児の為に、誰でも抱くのがどういう意味か。そんな状態で、大崎さんの気持ちに応えられないんだ、わかってよ……?僕しか、堕児憑きの女性は助けられないから……それをわかっているのに、安穏とはできないよ……」

 嘆きを吐くような独白を、美奈は悲痛な顔で聞いていた。
 きっと彼女を随分と傷つけてしまった……それがとても苦痛だった。だが、自分自身も深く傷ついた事を、真吾は気づけなかった。
 美奈は俯いたまま、一度だけ無言で頷いた。
 理解を……してくれたのだと、無理矢理にでも真吾は思いこんだ。恋愛に慣れていれば、もっと上手く諦めさせられたのだろう。しかし嘘の苦手な真吾は、これが精一杯だった。
 その時、唐突に二人の間を夜風がサーッと過ぎて行った。
 美奈の羽織るワイシャツの裾が、風にふわりと棚引いた。11月の冷たい外気に晒される白い素肌が、嫌に寂しげに目に映る。
 風を受けた美奈が、寒そうにワイシャツを掻き寄せた。
 思わず美奈の肩に手を掛けると、真吾はそっと胸に抱き寄せた。
 びっくりしたのか、美奈は涙が止まったようだった。

「あ――いや、ごめん。寒そうだなって、つい……」

 咄嗟に、まるで言い訳のように口をついた言葉は、そんな言葉だった。どうして抱いてしまったのか、真吾は自分でもわからなかった。

「ごめん……服を着させてあげれば良かったのか。バカだな、僕は……」

 誤魔化すようにテレ笑いを浮かべながら、制服を取る為に身体を剥がした。

「い……いい!こ、このままが……いい……」

 そう言うと美奈は、離れようとする身体にしがみついた。
 美奈は甘えるように胸にしな垂れかかり、図らずも抱き合うような状態となる。
 ドキドキと鼓動が、早鐘のようで煩かった。

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2018/08/07 00:00 | 小説概要と目次COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(26)女の子から貰った人生はじめての告白は、酷く苦い味がした①



◆ お知らせ ◆

この小説は、ノクターンノベルズ様の方で先に掲載しました。
掲載新章がノクターンの方に追いついたので、1章を分割して掲載する事にしました。
若干、変な場所での区切りになる話もあるかと思いますが、ご了承ください。
ブログの方が、少しだけ掲載が早くなる程度の違いになるかと思います。
 ◆―――――――――――――――◆

「滝川くん……何でこんな……」

 嗚咽に喉を詰まらせると、美奈は沈黙した。
 彼女は「何でこんな事するの」と言いたかったのだろうか。
 それとも「何でこんな事をしたの」と聞きたかったのか。
 終える暇もなく泣き出されて、抜去する猶予も堕児を回収する間もなく――落涙する美奈を真吾は抱擁した。
 美奈の肢体は、抱きしめたらバラバラになりそうなほど細かった。頼りない肩を抱きながら、胸に抱いた頭を気遣うように、そっと撫でる。

「……ごめん……」

 拒む様子も全く見せず猫のように頬を胸に摺りつけてくる美奈は、どことなく甘えているようにすら見えた。
 レイプした男の抱擁に、どうして応えてくれるのか……それを自分で言うのもどうかと思うが、まるで恋人にでも甘えるような美奈の姿に、真吾は煩悶する。
 美奈の態度に苦悩していると、徐に美奈が口を開いた。

「私は――結城さんの代わり……?」
「…………えっ!?」

 信じられない言葉を聞かされて、真吾は茫然と美奈を見つめた。
 美奈はその視線を苦しげに受け止めながら、悲痛に喘いだ。

「だって私――滝川くんが、好き……。好き、なのに……やめてって言ったのに……こんなの、どう思えばいいのか……」

 美奈は言い終わると、親の死に目にでも会ったように激しく啼泣した。
 強烈な一撃を貰ったような衝撃に、身も心も硬直する。思いもよらない瞬間に、思いもよらない相手からの……思いがけない告白。
 女の子から貰った人生はじめての告白は、酷く苦い味がした。
 美奈の悩ましい態度の謎の一部は、突然の告白で解けた。
 頭を撫でる手に、抱擁に、キスに……彼女が甘えるように応えてくれたのは、恋慕の気持ちを向けていたから。

「何故もっと早くに……せめて君を犯す前に、好きだと言ってくれれば――」

 息が詰まる程に力強く抱きしめられたからか、美奈の嗚咽がびっくりしたかのようにピタリと止んだ。

「もっと君を優しく抱いてあげられた……言ってくれなかった事を、君の所為だと責めるのは間違ってる。それは理解してるよ。でも言って欲しかった……そうすれば、僕は君をレイプしないで済んだのに……!」

 美奈の小さな頭を抱きしめる肩が、細く震える。
 肩先に、紅葉のような美奈の手が触れた。

「たき……がわ、くん。泣いてる……の?」

 覗き込む美奈の濡れた双眸が、自分を犯したクラスメイトの涙を見て当惑していた。

「ご……ごめん、僕に泣く資格なんか無いのに。自分のバカさ加減が、あまりに情けなくてさ……」

 美奈は戸惑うように目を伏せると、首を横に振った。
 彼女も何と言えば良いのか、わからないのだろう。思いを打ち明けなかった事を責めて、泣かれて……しかも、レイプしたのは当人なのだから、心が追いつかないのも当然だった。

「でも……この誤解だけは解かせて。どうして結城さんを引き合いに出したの?」

 美奈は伏し目がちのまま、途切れ途切れ呟くように告白した。たどたどしい美奈の言葉は、聞きながら咀嚼できるだけの時間があったが、あまりに予想外の返答だった。

「滝川くん、結城さん好き……だよね?知ってたの。結城さん……好きなんだろうなって。代わりに犯されたのかなって……そうでなければ、私なんて――」
「僕が相手にするはずなんて無い――大崎さんは、そう言いたいの?」

 真吾は、美奈の言葉を奪って続けた。
 怒ったような冷ややかな響きに、美奈は酷く驚いたようだ。見開いた双眸が、泣きそうだった。

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2018/08/06 00:00 | 小説概要と目次COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(25)夜の公園でクラスメイトをレ○プする



 優しい愛撫のように耳元で囁かれた言葉は、まるで悪魔の囁き――それはレイプの宣告だった。
 美奈は煩慮に揺れる双眸を天井に向けて、虚空を仰ぐ。まだ拒みたいのか、もう諦めたのか――彼女の胸中は推し量れず、真吾に知る術はなかった。
 ただ悲しみを深く刻む美しい彼女の目が、真吾の心を煩悶とさせる。心の深い場所に沈み込むように、何度振り切っても脳裏を掠めた。
 彩夏にも美里にも、このような苦々しい思いは懐かなかった。美里を犯した時でさえ、ここまで心は悲痛に喘ぐ事はなかった。
 どうして美奈だけが、こんな気持ちにさせるのだろう。

「あァん……お願い滝川くん、もう止めて……お願い……あっああ……!」

 真吾は迷いを振り切るように、美奈の白い首筋に唇を押しつけると、犯すように舌を這わせた。
 貪るように細い首筋に吸いつく姿は|吸血鬼《ヴァンパイア》のようだ。まるで自分の獲物だと誇示しているかのように、赤い|刻印《スティグマ》を白い首筋に残す。
 首筋に口づけていると、鼻腔を擽る美奈の芳香。脳髄が痺れるような香りに陶酔していると、沸々と情欲が湧き上がってくる。
 心は煩悶としても、美奈を犯したい欲はずっと根底に横たわり、起す時が来るのを待っていた。燻りかけた欲望の炎が再び蘇る――不死鳥のようにメラメラと、腕の中の女を犯したいと再び心に劣情が燃え上がった。
 真吾は美奈の秘所にペニスを押し当てた。
 雁首に感じる、熱く蕩けそうな膣口の抱擁。その感触を知覚すると……じわじわと情欲が、心を浸食していく。
 美奈は異物が押しつけられた感触に、ビクリとすると嗚咽を洩らした。

「はぁ、あぁ……こんな……滝川くん、うっう……こんなの嫌だよぉ……っ」
「大崎さんが拒んでも……身体はそう言ってない。僕も……」

 君とヤりたくて堪らない――とは、美奈の泣き顔を見ると口には出せなかった。
 彩夏や美里には躊躇もなく告げたのに、情けないな。どうして美奈には、いつもの誘惑めいた調子が出せないのだろうか。どうも美奈が相手だと、調子が狂う……。

「あっ……ん、大崎さん……」

 彼女の女性自身の玄関口も、客人を既に迎え入れていた。美奈の拒む意思とは裏腹に、ペニスを|膣《なか》へ引きこもうと雁首をやんわり包み込んで、|抱《いだ》くように導いていく。既に先っぽは、猥らに濡れた暖かい肉がヌルリと包み込んで、蕩けそうな心地が真吾を痺れさせた。
 僅かな隙間から覗く、彼女の身体と繋がる影――クラスメイトの男子の肉体と一本の線によって、強制的に連結させられる様を美奈は見せつけられる。

「――うっ……ううっ……もうやめて、滝川くん。こんなの嫌だよ……」

 腕の中の美奈の肩が、微かに震える。嗚咽と共に紡がれる彼女の声は、まるで良心に訴えかけているようで、鉄を舐めたように心がザラつく――再び蘇らせた劣情の熱を奪うように、耳の傍で悩乱させるように響く、美奈の哀願の声。
 そんなに嫌なのなら、どうしてもっと責めないのだろうか。

「そんなに嫌か?僕がはじめての相手で、ごめんね……」

 真吾は、自嘲的に微笑んだ。
 苦しげに笑みを浮かべる真吾の顔を、美奈は沈痛な面持ちで見つめる。
 拒絶なのか、否定なのか。左右に揺れる彼女の仕草は、いったい何を伝えたいのか。その表情に、真吾は心の痛みをいっそう募らせる。
 涙に濡れる頬を指先で撫でると、美奈はその指先の感触に、どこか甘えたような眼差しを見せた。その眼差しに苦悩するように眉根を寄せる真吾は、どこか哀切極まりない雰囲気で煩悶する。
 愛でるように触れる指先が、優しくするのはこれで最後だと告げるように、涙をそっと拭いた。

「ごめんな……」

 そう告げた真吾の眼差しが、刹那で変わる。牢乎たる強い決意に固められた双眸が、夜闇にキラリと閃いた。
 真吾は、迷いを捨てた。

「……ん……!滝川くん、だめ……!」

 留めていたものを開放させると、重力に引きこまれていくように、狭い膣穴をペニスが押し広げていく。ズルリと膣道を降りていく剛直が、未踏の狭い道を自身で掻き広げるように侵入していった。

「あん!――やだ、滝川くん……やあっ……ああっ!」
「……ッ!キツ……」

 膣道の狭さに思わず切ない息が出た。彼女の膣《なか》は美里と同等――いや、それ以上に窮屈だ。体格の問題なのか、美里よりも身体の小さい美奈の膣《なか》は実年齢よりもとても幼く感じられる。彼女の身体はどこまでも背徳的な作りをしていた。
 まるで――子供のような……。
 やっとペニスは最も狭い場所に到達した。まるで閉じるように侵入者を阻む、幾重にも被る結界のような膜の門。
 処女膜――美奈の……クラスメイトの女子の処女膜。

「大崎さんの処女……頂くよ」
「――ま、待って……待ってよ、滝川くん……!」

 美奈が何か言おうとしていたように感じるが、もう止めようが無かった。
 彼女の処女膜に触れ、興奮が身も心も一気に蹂躙してブレーキを外してしまった。もう止まれない……美奈の|膣《なか》を味わいたい。動かしたい衝動を抑える事など、できなかった。
 美奈の小さな頭を掻き抱きながら力強く、夢中で細い体躯を抱きしめた。

「ごめん待てない。大崎さん、はあはあ……大崎さん!」

 助走をつけるような動きで、興奮に駆られた腰が自然に前後に軽く動く。窮屈な美奈の性器と、ガチガチに膨張した自分の性器がぴったりと擦れ合い、ぬちゅぬちゅといやらしい音を立てた。

「大崎さん……!」

 ズンと力強く突き挿れると、ブチッ、メリメリ――と、微かな衝撃がペニスに走る。小さな美奈の大地は、極太の杭に貫かれた。

「あ~~~~~~~っ!!」

 美奈の絶叫が夜の空気に、儚く溶けて消える。
 後には池の冷たい水音だけが、耳に寄せるように聞こえる。たまに風に煽られた葉ずれの音が、優しく耳朶を擽った。
 貫通の余韻に陶酔する余裕もなく、堪らなくキツい肉感が腰に痺れるような快美感を送り込む。咄嗟に喘ぎそうな心地を何とか遣り過ごし、美奈の股間に腰を深く落としていく。
 更に強く突き挿れられる剛直が、完全に美奈の奥まで制覇すると、雁首の尖端が最深部に到着した。

「はうあ……あぁ……あああ……っ!」

 衝撃にヒクヒクと体躯を戦慄かせるクラスメイトは、処女を喪失した衝撃からか辛苦の涙を浮かべる。だが、その表情に嫌悪は感じられない。辛苦の涙が浮かぶ顔は、陶然としていた。
 処女の美奈には知りえぬ未知の快感が小さな肉体を蹂躙しているのだろうか、なかなか終わらない衝撃の余韻に、美奈は猶もピクピクと艶めかしい姿を晒していた。
 深みに嵌り抜け出せない美奈の表情に、保護欲が駆り立てられる。
 小動物のように愛くるしく、人形のように可憐。少女ような容貌のクラスメイトの女子の、抱きしめたくなるような甘い表情に、真吾は堪らなく心切なくなった。
 男心をグッと刺激するような表情に、余韻の冷却を待ち焦がれるペニスが、彼女の|膣《なか》で更に膨張しビクリと震える。
 身じろぎすら許されないほど、ぴっちりと膣道一杯に膨らんだペニスに、美奈は息を切なそうに詰まらせた。

「は……あっ、ああぁ……はあ、はあ……あああ……」

 |膣《なか》を埋める膨張に喘ぐ声に、美奈が苦しい程の悦楽を感じてくれているのが理解できた。
 疼く肉が真吾の快感を誘うように、膨張をぐにゃりと擦る。美奈もまた、彼女の意思とは関係なしに、切なく疼く肉がペニスの刺衝を求めていた。
 彼女の無自覚なお強請りが興奮を煽り、身も心も切なくさせる。胸を突く衝動に駆り立てられた真吾は、動きを留める事が最早できなくなった。
 剛直を引き出すと、愛蜜と被瓜の血を纏った肉竿が、ぐちゅりと淫靡な悲鳴を上げた。
 返す刀でたちまち膣道をまた塞ぐ。ずりゅっと、逞しい反り返りが肉を抉るように突き挿れられて、美奈の女性自身は強靭な剛直の刺衝を、歓喜に震えながらやんわりと享受した。
 悦楽と悲しみの絡み合う美奈の顔を見下ろしながら、眼前でたおやかに揺れる双丘に手を掛ける。手の中で脹らみを愉しみながら、恥らうように快感を主張する蕾に舌を絡めてやる。

「こんなのやだよ、滝川くん――あっ!んん……んくぅ、あっあっあ……っ!」

 抽挿により導かれた美奈の甘声は、耐える事もできずに、突きの速度に否応無く同調させられてしまう。言葉を紡ぐ事もできず、声を忍ぶ事も許されずに、自身でもどうにもならない喘ぎ声が、可憐な唇を突いて零れた。
 強制的に浮かせられた美奈の下肢が、抽挿に合わせて宙でプラプラと蕩揺する。力なく跳ねる様が、まるで無理に強いた貞操蹂躙を物語っているように見えて、無残な光景を更に増長させた。
 彼女を貫くクラスメイトの落とす影が、美奈の視界にチラチラと映る。
 街灯を背にしている為に、真吾の顔はろくに見えない。荒い息遣いと洩れ聞こえる切ない声、たまに掛けられる気まぐれな声だけが、真吾の存在を美奈に知らせていた。

「く……大崎さん――締まる!」

 うねる肉ビラが抽挿に逆らうような動きで、ギュウっと強く締めつける。美奈の拒む意思とは裏腹に、至福を渇望するようにペニスに甘えて離さない。
 剛直を絞るように撫でる膣道の動きに、だんだんと抽挿は早められる。
 激しい抽挿に身を捩らせる美奈は、抗うように身を屈めて、腰を引く素振りを見せた。ギュッとキツく閉じられた眦も何かに耐えているように見える。

「我慢しないでイきなよ。ココこんなに締めつけてる……イきそうなんだろ?」
「くぅ!ぅあっ……やっ……やだぁ、止めて……お願い、滝川くん。止めてェ~!ああ!あーあっあっあっあ……っ!!」

 |膣《なか》も腰もビクビクとさせているのに、わからないと訴える美奈。感覚としての絶頂経験が無い美奈は、別の衝動と勘違いをしてる可能性があった。
 有り得る可能性としては尿意。昇る前兆の感覚は、尿意に酷似している。
 真吾は腰に手を回して小さな尻をギュッと掴むと、グイと浮かすように持ち上げた。美奈の背筋が半ば強引に反らされてしまう――。

「イきなよ、大崎さん――」

 浮かされた恥丘に押しつけるように下腹部をぴったりとくっつけると、剛直の刺衝が美奈を翻弄した。ミチミチの膣道を掻き混ぜる膨張が、ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てる。
 子宮口を嬲るような丁寧で凄烈なグラインドで、奥を上下に抉られて、柳腰が身悶えるようにビクビクと踊り出す。絶頂しようとする膣筋がざわざわと激しく伸縮を始めた。
 く――!これは堪らん――!!

「くぅッ!!大崎さんの膣《なか》、凄すぎる……!」

 抗えずに腰が大きくグラインドする。
 ずりゅずりゅと、絶頂しようと伸縮する膣道を強烈な抽挿で剛直を摩った。

「だめだめだめ――!!やめ――滝川く……あっ!あっあっあっあっあああぁぁああぁ――――――っ!!」
「――も、射る……射すよ、大崎さん……!」

 ズン――至福を迎えた美奈の深い場所に、はち切れそうな膨張を強く捩じ込んだ。子宮口を捕らえると、堰が切られたように流れ込む白濁流。鉄砲水のような荒々しい流れが、今も昇る最中の場所を遠慮なく抉る。
 精液に子宮を犯される感触を教え込まれながら、美奈はもう一度昇った。

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2018/08/05 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(24)胸の痛みの理由も知らずに



「ああぁっ……ああぁぁ……っ」

 愛撫に感じ入るような、うっとりとした美奈の声は、明らかに今までと違う声色だった。
 切ない疼きに寄せられた眉根は、快感が深くなる毎にだんだんと強く寄せられていく。悦楽に悦ぶように綻んだ唇からは、真吾の脳を蕩けさせるような甘い声が絶えず洩らされ、意識がなくても強い快感を得ている事が判断できる。
 意識の無い美奈の股間に、真吾は顔を埋めていた。
 乳房に口づけたら、我慢できなくなってしまった。
 美奈の肌理の細かい美しい肌は、何時間でも口づけられるような至高の肉感だった。夢中で口づけているうちに、彼女の全てが見たくなった。
 クラスメイトの女子のあられもない姿は、抑えが効かないくらいエロい……ブレザーの中で、乳房も露に肌蹴るワイシャツ。ソックスとローファーだけ履かされて、下はすっぽんぽん。
 人形のような綺麗なロリっ子に、制服プレイしてるような錯覚的なエロス。
 美奈だからこそ醸し出せるその雰囲気に、真吾はどうしようもないくらい興奮してしまった。内に秘めた昂ぶり続けた劣情は、既に抑え切れない程に膨張していた。
 それも人形みたいに綺麗で可愛い子を、自由にできるのだ。こんな状況に、興奮を抑えられる訳がない。
 ちゅるりゅると舌でクリトリスを弾くと、美奈はピクピクという反応から次第にビクビクという強い反応に肉体を振るわせ始めた。
 真吾は美奈の無毛の丘に、吸いつくように口づけを深めた。

「ああっ!あっあっ……だめ……ああ~!いく……イクイク、イっちゃうぅ~!」

 消え入りそうな素の時の美奈からは、想像できないような合図の音吐。美奈は突き出すように、腰を浮かせる――動いた!?
 起きたのだろうかと心臓がドキッと跳ねる。
 咄嗟に美奈の腕をM字に開いた脚の下から通すと、真吾は掴んだ腕を少しキツめに引っ張った。自由に力の入らない今の彼女の身体状態なら、これだけでも十分に拘束できる。
 自然に背を反らされるような形で夜空に浮かんだ美奈の裸体は、まるで天の川に掛かる欄干橋のように、優雅で芸術的だった。流れるような長い黒髪が、川の水面のように月光に煌いて、とても幻想的で美しい。
 唇をぴったりと、今しも絶頂を迎えようとしているクリトリスに貼りつけ、やんわり吸い上げると柳腰がプルプルと大きく振動する。
 美奈の身体が夜空に浮かぶ弓のようにギュッと撓み、腰は細かく揺れながら戦慄する。

「ああ!イクイクイクイク!!ダメ!ダメ~!イク……ああぁあぁ――――!!」

 腰をガクガクと大きく上下に揺らし、美奈が昇り詰めた。意外な程に激しい美奈の昇り詰める姿は、誘うように蠱惑的で、見惚れてしまうほど美しい。
 昇り切った美奈は、まどろみを消化するのが精一杯なのだろうか。吐息を洩らしながら刹那の間、虚空を眺めていた。
 美奈はまだ、何をされているのか気づいていないのだろう。
 虚空を見つめた夜空のような双眸は、押しつけられた快感に浮かされるように、まどろんでいた。
 人気のない夜の公園で、殆ど会話をした事もないクラスメイトを、半裸に剥いてレイプする……何というヤバいシチュエーションだろうか。
 美奈があまりに魅力的で、止めるという選択肢は既に、頭の中から抜けて出ていた。
 それは今も同じだ。
 ドキドキと胸を打つ鼓動は、煩いくらいに激しい。胸を焼くような痛みまで伴い、締めつけるように苦しい。
 ズボンの中で熱り勃ったペニスは、興奮状態でビクビクとのた打ち回る。溢れるカウパーをパンツに擦りつけ回り、濡れた生地に冷たさを感じる。
 漸く収束したのか、美奈の瞳がこちらを向く。
 美奈の双眸は真吾の姿を認めると、驚きに大きく見開かれた。

「――え!?な……×んx×!?――なぬ……なん……なな、何で……!?」

 美奈はだいぶ混乱しているのか、発せられた言葉は真吾に理解できなかった。意味不明な日本語(あれは日本語か?)で、喫驚の声を上げる美奈。
 気持ちはわかる。
 意識が戻ったかと思えば唐突に絶頂を迎え、視線の先には送り狼よろしく――会話もろくにしていないクラスメイトに、アソコを舐められているのだから。

「た――たたた滝川くん!?私、どうなって……あの、これはどういう……事なの……ねえ、滝川くん……」

 呂律に少し怪しい部分はあるが、言葉は理解できるものになった。人物を判別しているという事は、自我はしっかりしてると認識できた。
 今にも泣き出しそうな苦痛に満ちた双眸は、自身の淫核に未だ口づけているクラスメイトを、瞬ぎもせずに見ていた。
 美奈の打ち震える細い声音には悲愴感が漂い、真吾の心は悲鳴を上げたように、キュッと痛んだ。なのに破廉恥な美奈の姿に、心惹かれてしまう矛盾した自分に真吾は苦々しい思いを懐いた。
 遣る瀬無い思いの全てを劣情に変えていくしか、苦しみから逃れる術を真吾は未だ知らない。心は悲痛に喘いでも、下半身は別人格だ。

「――滝川くんがどうして、こんな……ああ!あっあっああ~っ!」

 美奈の言葉の終わりも待たずに、口づけた唇を徐に真吾は動かした。淫核への口づけを強めると、そのまま唇にクリトリスを抱き込んだ。
 キュンとくる刺激に突き動かされた柳腰が、ビクンと大きく揺れる。

「はううッ!止めて滝川くん、やぁ……あっあっあ……っ!」

 美奈は逃れようと身体を動かそうとした――が、動かない。妙なポーズで固定された身体は、僅かな動きではビクともしなかった。
 切ない状況を憂えて、美奈が歪んだ眦に涙を浮かべる。
 拘束されたように動かせない身体を、クラスメイトの男子が好き勝手に貪る。勃起した淫核を自分勝手に嬲り、卑猥な音を響かせながら、咀嚼するように我欲剥き出しにしゃぶられる。
 ヒクヒクカクカク――快感で足腰が痙攣し始める。アクメを迎えたばかりの敏感な場所に、強制的に快感を送り込まれた身体が、余韻を消化しきる前にもう一度、昇らされようとしていた。止めてくれないと悟ったのか、諦めたように声を殺す美奈。

「だめ!滝川く――いく……やっ……いやぁ……止めて、だめだめだめェ!イっちゃう……滝川くん、やだ……んんんんんん――――ッ!!」

 見ているだけでも切なくなるような、美奈のイキ姿。イキ顔は可愛く、捩れる括れは芸術品のように美しい……忍ぶ喘ぎ声は、何故かメチャクチャにしてしまいたくなるような衝動に駆られる。
 ぐったりとベンチに沈む細い体躯に、真吾はそっと覆い被さった。
 手折れそうな程に細い首筋に口づけると、シャンプーの匂いが鼻腔を擽る。美奈の香りは柔らかで甘く、脳が溶けてしまいそうな程に痺れた。

「んっ……ダメ、どうしてこんな……何で、こんな事……」

 眦に新しい涙を浮かべ、その痛切な表情に心は痛みで軋んだ。
 なのに、強い拒絶を美奈から感じられないのは何故なのだろう。
 ただひたすら悲しげに潤む美しい瞳は、星空を隠すような雲に覆われしとどに濡れる――燃え上がるような昂ぶりは、痛々しい美奈の姿に鎮められた。

「ごめん、大崎さん。こんな事して……」

 美奈の頭を咄嗟に抱きしめてしまったのは、目を合わせるのが怖いからだった。
 怖い程に美しい瞳を見てしまうと、怖気づきそうになる……。
 真吾はそれが怖かった。

「僕には大崎さんを襲わなくちゃいけない理由があったんだ――って聞いても、は?って感じだよね……」

 何も言わない彼女に気まずいものを感じながら、真吾は美奈の下腹部に手のひらを当てた。
 黒い靄がフワッと沸き立つ。
 靄は何故か、駅で視た時よりも薄いような気がした。美奈にこれが視えるだろうか……。

「僕の手を当てた所に、大崎さんの目には黒い靄みたいなの視える?」

 示す場所を刮目するように、怪訝そうな顔をしながらもジッと見つめる美奈。

「……良く、わからない……かな。言われれば何かあるような、無いような……」

 だが視えるかどうか、どちらとも無いように感じているようで首を傾げた。
 目視が薄いと感じた胸騒が的中して、真吾は少し焦りを感じた。

「そう……夜だからなのかな、それとも僕の能力が弱いからか……?」

 第二の覚醒とやらが失敗したのが、響いているから?
 それとも夜は、陽の気が低いとか……若しそうだとしても、力が万全なら問題にもならないはずである。

「駅で視た時より弱いけど、僕にはその靄が視えてる……大崎さんは、視えない?」

 頷いて良いのか首を振るべきなのか、美奈は戸惑いながら曖昧に答えた。
 美奈には靄が視えていないのだから、仕方のない反応である。
 視えないものを、どう説明するべきか……苦悩する心が、焦りを感じ始める。こんなアクシデント、全く予想していなかった。

「視えているものとして、話を進めさせて貰うけど……その靄は君が堕児という生物に、ココが寄生されてるって証拠なんだ」

 そう言って、下腹部をポンポンと真吾は軽く叩いた。
 美奈は裸のお腹を叩かれているからか、剥き出しの恥部に近いからか、恥らうように頬を赤らめて、モジモジと太腿を擦り合わせた。
 可愛い彼女の恥じらいに、ズボンの中の膨張がピクンと反応した。
 本心は早く美奈の|膣《なか》に挿入りたい。こんな面倒な説明なんてナシに、美奈とエッチがしたい。
 真吾だって思春期の男子だ。
 いつまでもお預けの状態が保つほど、大人ではない。その衝動を我慢していられるのは、彼女がクラスメイトだからだ。
 なるべく穏便に、真吾も済ませたいと思っているのだ。

「僕はその堕児を、精液で殺す事のできる唯一の能力者なんだ」
「……だから、私を襲った……って、言うの……?」

 美奈の疑念めいた当惑の表情に、彼女が自分の言葉を信じて良いのか疑っているのだと、真吾は感じた。
 仕方のない事だと、理解してる。それが普通だという事も、わかってる。
 わかっていても、悲しいものだな……。
 血を分けた美里ですら、靄を見ても猶――真吾の話を、信じ切れてはいなかったのだ。他人がもっと信じ切れないのは、当然なんだ。
 なのにどうして、美奈に疑念を持たれた事が、こんなに悲しく感じられるのだろう。
 真吾は落胆を隠し切れず、静かな声で呟いた。

「――やっぱり信じられないよね……」

 襲いたい為の妄言だと、思われてるんだろうか。
 未だ当惑気味に思い悩む彼女を見て、真吾は肩を落とした。
 意識の無い美奈を襲ったのだから、確かに言い訳にしか聞こえないかもしれない。でも、若しもそうなのなら……とっくに美奈の身体を、ペニスが貫通してる。こんなまどろっこしい説明なんてナシに、犯してるよ……。
 握り締めた拳が、グッと力む。
 幾ら口説いたところで、荒唐無稽な話に理解を求める方がどうかしてるのか。犯す事でしか解決はしないのだから、思い悩むだけ無駄なのか……?
 苦悩に揺れる心が、痛みを伴いギュッと撓む。
 救いたいのなら迷うべきではない。
 心の奥底から、そんな声が聞こえた気がした。

「信じ……られない訳じゃ……でも、急に言われても……」

 当惑に揺れる眼差しが、落ち着きなく彷徨う。
 美奈の中の疑念を払拭するのは、無理なのかもしれない……。
 真吾は、腹を決めた。
 さっき自分でも思ったはずだ。どの道、レイプでしか堕児の存在は解決できないと……。
 すぐに信じてくれなかったとしても、堕児を放って置けないのなら、いい加減そろそろ自覚すべきだ。
 犯す事が、救う事なのだと――。

「死んだ堕児を見て貰うしか、ないみたいだね。ごめん、大崎さん……」

 ズボンのチャックを下ろし、勃起したペニスを真吾は開放させた。
 狭苦しい制服のズボンから開放されて、ビィンと飛び出す彼女の肉体を貫く為の肉凶器――ふたりの胸と胸の、僅かな空間に影を下ろす雄々しい剛直のシルエット。美奈を犯そうとビクビクと震える禍々しい影は、彼女の目には凶悪で醜悪な異物に見えているだろう。彼女の|膣《なか》に汚らしい欲望を吐き散らすのだから……実際その通りだ。
 ペニスを目にした美奈はそれを凝視すると、衝撃に顔を引き攣らせる。
 様々な思いが彼女の瞳に去来しているのか、震えるように双眸が大きく揺れた。瞬きを忘れた見開かれた瞳はやがて、貯めた涙をまた落下させた。
 何をこれからされるのか、彼女にも察しがついているのだ。

「――やめて?滝川くん、お願いよ……」

 美奈は驚きと怯えの浮かんだ顔を、僅かに振る。
 溢れた涙がついに耐えかねたように堰を切ると、なだらかな頬を幾筋もの涙が落ちていく。その涙は首筋にまで伝い、口づけた時に塩辛い味を真吾の唇にも残した。
 口に広がる苦い、レ●プの味――。
 心ともなく美奈の方を見てしまう。
 美奈もこちらを見つめていた。
 何とも哀切この上ない彼女の泣き顔に、心はズキリと痛んだ。
 どうして美奈は責めないんだ……。
 大した拒絶もなく、何故と問うだけで行為を受け容れる美奈。責め苛む事も無く、ただ泣きながらもレイプを受け止める美奈に、真吾は苦々しい思いを懐かされていた。
 強く拒絶された方が、まだマシだ。真吾は酷く切なく、遣る瀬無い気持ちになった。
 美奈は頻りに「どうして」と尋ねるが、真吾も彼女に聞きたかった。
 どうして責めないのかと……。
 まるで悲鳴を上げるように、何故か切なく心は喘ぐ。その痛みを、どうする事もできずに持て余す。

「……たき……川くん?」

 真吾は涙を流す美奈の眦に口づけていた。
 美奈はその口づけに眉根を寄せながら、そっと目を閉じる。
 閉じたろころに、舌の先がすくうように涙をそっとなぞると、暖かい唇が美奈の眦にまた、被せられた。涙を落とす眦に……泣かないでくれと囁くように、真吾は口づけた。

「どうして……?」

 美奈は、か細い声で尋ねた。
 何故こんな事をしているのか、どうしてキスしてるのか……真吾自身にも理由は、わからなかった。
 怯える美奈を慰めるように、真吾は頬に指で触れる。キスの瞬間に閉じられた美奈の瞼が、微かに切なげに震えた。
 何故かキスは拒まないんだね、大崎さん……。
 眦から唇を離すと、細く開かれた彼女の瞳が真吾を見つめた。
 真吾も、その瞳を見つめ返す。
 哀切この上ない二人の視線が、息を感じる距離で交錯する。
 真吾はたった今剥がした唇を頬に近づけていくと――チュッと、美奈の頬に口づけた。唇にキスをしないのは、僅かに残る良心からだった。
 薄く開いた彼女の瞼が、切なげに歪む――美奈の目から一滴、涙が流れた。

「こうするしか君を助ける方法はないから……ごめん、君を犯すね」

小説家になろう・ノクターンノベルズでも連載中です◇










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2018/08/04 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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