2ntブログ

◆◇◇◆◇◇◆

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- --:-- | スポンサー広告  

竜を継ぐ者(26)女の子から貰った人生はじめての告白は、酷く苦い味がした①



◆ お知らせ ◆

この小説は、ノクターンノベルズ様の方で先に掲載しました。
掲載新章がノクターンの方に追いついたので、1章を分割して掲載する事にしました。
若干、変な場所での区切りになる話もあるかと思いますが、ご了承ください。
ブログの方が、少しだけ掲載が早くなる程度の違いになるかと思います。
 ◆―――――――――――――――◆

「滝川くん……何でこんな……」

 嗚咽に喉を詰まらせると、美奈は沈黙した。
 彼女は「何でこんな事するの」と言いたかったのだろうか。
 それとも「何でこんな事をしたの」と聞きたかったのか。
 終える暇もなく泣き出されて、抜去する猶予も堕児を回収する間もなく――落涙する美奈を真吾は抱擁した。
 美奈の肢体は、抱きしめたらバラバラになりそうなほど細かった。頼りない肩を抱きながら、胸に抱いた頭を気遣うように、そっと撫でる。

「……ごめん……」

 拒む様子も全く見せず猫のように頬を胸に摺りつけてくる美奈は、どことなく甘えているようにすら見えた。
 レイプした男の抱擁に、どうして応えてくれるのか……それを自分で言うのもどうかと思うが、まるで恋人にでも甘えるような美奈の姿に、真吾は煩悶する。
 美奈の態度に苦悩していると、徐に美奈が口を開いた。

「私は――結城さんの代わり……?」
「…………えっ!?」

 信じられない言葉を聞かされて、真吾は茫然と美奈を見つめた。
 美奈はその視線を苦しげに受け止めながら、悲痛に喘いだ。

「だって私――滝川くんが、好き……。好き、なのに……やめてって言ったのに……こんなの、どう思えばいいのか……」

 美奈は言い終わると、親の死に目にでも会ったように激しく啼泣した。
 強烈な一撃を貰ったような衝撃に、身も心も硬直する。思いもよらない瞬間に、思いもよらない相手からの……思いがけない告白。
 女の子から貰った人生はじめての告白は、酷く苦い味がした。
 美奈の悩ましい態度の謎の一部は、突然の告白で解けた。
 頭を撫でる手に、抱擁に、キスに……彼女が甘えるように応えてくれたのは、恋慕の気持ちを向けていたから。

「何故もっと早くに……せめて君を犯す前に、好きだと言ってくれれば――」

 息が詰まる程に力強く抱きしめられたからか、美奈の嗚咽がびっくりしたかのようにピタリと止んだ。

「もっと君を優しく抱いてあげられた……言ってくれなかった事を、君の所為だと責めるのは間違ってる。それは理解してるよ。でも言って欲しかった……そうすれば、僕は君をレイプしないで済んだのに……!」

 美奈の小さな頭を抱きしめる肩が、細く震える。
 肩先に、紅葉のような美奈の手が触れた。

「たき……がわ、くん。泣いてる……の?」

 覗き込む美奈の濡れた双眸が、自分を犯したクラスメイトの涙を見て当惑していた。

「ご……ごめん、僕に泣く資格なんか無いのに。自分のバカさ加減が、あまりに情けなくてさ……」

 美奈は戸惑うように目を伏せると、首を横に振った。
 彼女も何と言えば良いのか、わからないのだろう。思いを打ち明けなかった事を責めて、泣かれて……しかも、レイプしたのは当人なのだから、心が追いつかないのも当然だった。

「でも……この誤解だけは解かせて。どうして結城さんを引き合いに出したの?」

 美奈は伏し目がちのまま、途切れ途切れ呟くように告白した。たどたどしい美奈の言葉は、聞きながら咀嚼できるだけの時間があったが、あまりに予想外の返答だった。

「滝川くん、結城さん好き……だよね?知ってたの。結城さん……好きなんだろうなって。代わりに犯されたのかなって……そうでなければ、私なんて――」
「僕が相手にするはずなんて無い――大崎さんは、そう言いたいの?」

 真吾は、美奈の言葉を奪って続けた。
 怒ったような冷ややかな響きに、美奈は酷く驚いたようだ。見開いた双眸が、泣きそうだった。

小説家になろう・ノクターンノベルズでも連載中です◇










◆◇ 関連リンク ◇◆

竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)第一話へ
ヒミツのカンケイ第一話へ
『 M 』第一話へ
お兄ちゃんと私 第一話へ









関連記事

2018/08/06 00:00 | 小説概要と目次COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

コメント



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |