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竜を継ぐ者(11)学園のエキセントリックな女教師②



 観念した真吾は、最初のあらましである彩夏のオナニーから語りに入った。
 彩夏に凄い目で睨まれたが報復のつもりはない。ここから話さなければ説明できない事が多いだけだと、彩夏には納得はして貰った。

「僕が委員長を見つけた時、彼女はボーっとした様子でオナニーに耽って――僕が何をしても意に介さない様子でした。意思的なものが皆無というか……」
「自我を喪失している感じか?」
「そんな感じです。自我は無いのに、頼み事を言うとそれは理解できるのか聞いてくれたりとか……」
「頼むと――という事は、何か頼んだんだな滝川。どんな様子だった?」

 と聞かれて、真吾は返答に窮した。そこまで細かく答える事を全く想定していなかった。
 答えあぐねていると理沙の苛立ちがだんだん募っていくのが理解できた。また減点だ何だと言われる前に、何か答えなければと心が焦る。
 取り合えずフェラチオさせた事を言わなければ……何とかなるか?

「動きが兎に角とてもゆっくりしてました……かね」
「動作だけ聞いても意味がないだろ!どんな事を頼んで渡辺がそれをどこまで反映できたのかを聞かないと、どこまでの処理能力があるのかわからんじゃないか!」

 また足をダンと踏んで苛立ちを露にする理沙に、真吾はヒィと飛び上がった。

「――あの、どうしても言わなくちゃダメですか……?」
「ダメだ。私はその場にいなかったからな、分析に情報は必要だ。いいか、話すまで帰さないからな」

 即答かよ……。

「もう遅いですし、せめて委員長だけでも先に帰らせた方が――」
「あら、私の事は気にしなくていいのよ?何させたのか話して貰おうじゃない、滝川くん?」

 振り向くとすぐ傍に、拳をポキポキさせるような仕草で静かに怒りを湛える彩夏の顔。引き攣るように上げられた口角が、逆に怒りのボルテージの高さを表しているようでとても怖い。
 真吾の背筋が恐怖でゾクゾクっとする。
 気の強い女性二人に挟まれた真吾は心で悲鳴を上げながら、タジタジと後ずさった。オイシイ思いをした後は、地獄が待っているものなんだな――なんて、真吾は考えた。

「もう……わかったよ!話すよ……」

 ほぼヤケクソで叫ぶと、真吾は彩夏にさせた命令の内容を仕方なく話した。
 その間はとてもではないが、彩夏の顔を見れない。
 真吾は別方向に顔を背けながら独白する。彩夏のショーツを剥ぎ取りオナニーの続きを強請り、秘所を自分で開くようにお願いした――までを、ややつっかえながら打ち明けさせられた。
 彩夏の恐ろしいまでに憤怒した顔――ヤバい。めっちゃ怒ってる……。

「他には!?それで本当に全部なんでしょうね!?」
「う――うん。それで全部……」

 近い近い近い近い!!
 彩夏に壁の隅まで詰め寄られて、真吾は顔を反らせながら答えた。眼光鋭く見上げる彩夏から、真吾は目を逸らしていた。というよりも、嘘が顔に出やすい真吾は合わせられなかった。
 すると椅子から見物していただけの理沙が一言――。

「嘘だな。その顔、まだ何かあるんだろ?」
「まだ何か隠してるの!?言いなさい~~~!」

 再び彩夏がこちらに向き直って真吾を責める。
 余計な事を~~~~!!

「諦めて全部話したらどうだよ、滝川」
「ちゃんと話してもらうわよ滝川くん~~~!!」

 彩夏に襟首を掴まれてガクガクと首を振られながら、真吾は泣きそうな心境だ。万事休す――この様子では、理沙どころか彩夏も諦めてはくれなさそうな勢い。きっと聞き出すまで帰ってはくれないだろう。
 しまいには理沙にまで詰め寄られて、真吾はヤケッパチで声を張り上げた。

「――わかりましたよ、もう~~~!!話しますよ、話します!」
「ちゃんと区切った所から話せよ?」

 ニヤニヤと笑いながら、理沙が言う。
 あれは絶対に面白がってる……。

「ううう~~~……!委員長の姿があまりにエロくて我慢できなくなったのでマンコ舐めました!愛撫で委員長を――3回?くらいイかせたら射精したくて堪らなくなったから、委員長にフェラを要求して口内射精しました!頼んでないのに委員長が僕の精液を飲んじゃった事には流石にびっくりしたけど……もうこれで全部ですよ、満足ですか!?はあっはあっはあっ――」

 夢中でヤケクソ気味に全てをぶちまけた真吾は、肩を激しく上下させながら息をついた。
 二人は話の内容にも、真吾の激情にも驚いたようだ。
 理沙は面白いものを見るように「おやまあ」と苦笑し、彩夏は羞恥と怒りで爆発寸前のような引き攣った顔でワナワナしていた。
 たっぷり1分間は、真吾の激しい息しか聞こえなかった。
 彩夏がドアにバタバタと向かった事で、時は動く。

「どうした渡辺、帰るのか?」
「トイレです!」

 声を掛ける理沙に彩夏はもの凄い剣幕で言い捨てると、ドアを勢い良くバターンと閉めた。

「嗽だろーな。知らなかったようだからな」

 そう言って理沙は、面白いのかクククと笑いを堪えていた。
 人事だと思って……なんつー教師だ。当事者の真吾でさえも思わず呆気に取られた。

「僕だって知られたくなかったですよ……」
「はぁ?自業自得だろうが」
「仕方ないでしょ僕だって男なんだから、射精欲はどうにもなりませんよ。でも僕自身はレ●プなんてしたくなかった……口でして貰う事で、逆にセックスへの衝動がまだ抑えられてたんですもん」

 憮然とした表情で真吾は言った。
 その表情に、理沙は溜息がちに笑う。
 人の事だと思って……真吾の顔はますます憮然とした。
 あーあ、嫌われちゃったかな。気兼ねなしに会話できる女子と、折角お近づきになれたのにな……真吾は少しアンニュイな気分になった。
 女の子と普通に会話したのが、真吾は本当に久々だ。でき得るのなら、今後も親しくしたかった。

「――戻りました……」

 ガチャリとドアが開いて、トイレから戻った彩夏が入ってきた。
 戻ってきた彼女は幾分か冷静さを取り戻した様子で、矛は多少は収まってくれているようだった。真吾はその顔に、僅かながらにホッと胸を撫で下ろす。

「しかしそれなら何故レ●プになったんだ」
「彼女をレ●プしたかったのは僕ではなく、別の存在です」
「意味わからんぞ。何だその別の存在ってのは?」

 狐につままれたような奇妙な表情で聞き返す理沙。
 彩夏も未だ半信半疑なのか、それとも全く信じてくれて無いのか、片眉を吊り上げてこちらを睨んでいる。

「ここからはガチで奇妙な話になります……聞いても多分、理解の追いつかない話になりますよ。当事者の僕でさえ、自分自身で体験してなければ信じられないような話ですから……」

 ◇

「という感じで……流石に僕も我慢できなくなって……委員長を強引に口説いて、その――エッチしました……」

 彩夏を抱いた内容は、当たり前だが勿論すっとぼけて飛ばさせて貰った。あの生物には無関係な内容だし、流石にそこまで話してやる義理はない。
 彩夏に精飲させた後の話を、真吾は理沙に全て話して聞かせた。
 ただし彩夏が口にしたお強請りの詳細だけは除いた――流石に、それを口にするのは彩夏が可哀想だし、ただ淫語を使用して強請ったという言葉だけで、伝えるには十分だと判断したからである。

「終わった後……理由はわかりませんけど、渡辺さんの下腹部が白く発光したんです」
「あの生物を見つけたのは?」
「その後です。渡辺さんの身体から、死んで出てきました……」

 真吾は、あの思念の目的は――彩夏を犯させたかったのは、謎生物が目的だったのではないかと考えていた。これだけの偶然が重なるとはとても考え辛いし、そう考えるのが矢張り自然だ。

「――話は以上です。信じる信じないはお任せしますけど、これが全てですよ」
「なる程ね……」

 理沙は何か思案するように考え込んだ。
 表情から察するに、半信半疑といった表情だ。彩夏はどうなんだろうか……自我喪失時も含めて、タイムラインに沿った出来事を話して聞かせたけど。
 彩夏の方へ視線を向けると、バッチリ目があってしまった――思わずどちらからともなく、パッと目を逸らしてしまう。
 拒んでいた事実があっても、レ●プを始めたのが自分でなくても――手を出したのは僕が先だ。彩夏の身体に悪戯しようと考えていなければ、こんな事は起こらなかった。別の誰かにレ●プされた可能性は十二分にあるけれど……。
 盗み見た彩夏の顔は、思いつめたような複雑な表情だった。流石に彩夏も落ち込んでいそうだ。謝るべきだろうなと真吾はその横顔に思う。

「気になる所は色々と多いが――」

 謎生物の袋を見つめていた理沙が、唐突に口を開いた。

「意思を奪って疼きを促している催淫効果だな。私でも手が出せそうな分野は」
「手を出せそうなって――信じてくれたんですか、先生」
「まだ半信半疑といったところだが……滝川、おまえはどうしたい?」

 いきなり質問を返されて、真吾は戸惑った。
 どうしたいとは……理沙は何を求めているのだろう。

「どうしたいって聞かれても困りますけど……ただ、心配だなって」
「心配とは?」
「渡辺さんが……」

 その言葉に、彩夏がこちらを驚いたように振り向いた。

「得体の知れないものが体内から見つかって気持ち悪いだろうし、催淫以外に本当に害が無ければ良いなって……」
「……驚いた。滝川くん、そんな事を思ってくれてたの?」
「当たり前だろ。そりゃ、思うよ……」

 気まずそうに俯く真吾に、彩夏もテレたように俯いた。
 二人の様子を黙って見ていた理沙が、口を開いた。

「なら……確信を得るには証拠が必要だろ?」

 そう言う理沙の顔には、確かに好奇心が強くでていた。
 だが、生徒を慮る教師の顔でもあった。

「こいつを預かっても良いなら解剖する。若しかしたら、何かわかるかも知れないしな」

 そう言うと、袋を挟んだ指を理沙は振った。
 この気色悪い物体を解剖する気か。そりゃあ真吾としても、謎生物の生態を少しでも明らかにしてくれるような協力は嬉しい。

「協力は有り難いし、別に構いませんけど……」
「そうか。ならこいつは私が預からせて貰うぞ。今日は遅いからもう帰れ」
「は――はあ、遅くに長々と失礼しました」

 彩夏と準備室を後にしようとすると、背後からの理沙の声に呼び止められた。
 振り返った真吾に、理沙は袋を振って見せる。

「避妊くらいしろよ。猿じゃないんだからな」

 真吾はギクリとした。
 話の中で真吾は、はっきりと膣内射精したとは言っていなかった。ただ「抜いた後」と伝えただけだったのだが……謎生物におまえの精液が付着してるぞと言わんばかりに、にやりと笑う理沙。
 ――ははは、バレていたのね……。
 真吾はバツの悪い顔で笑った。

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2018/07/21 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(10)学園のエキセントリックな女教師①



 アニメなんかの理科室には、ホルマリン漬けの蛙だとか棚に陳列されていたりする。だがそんなものが普通の高校にある訳がない。
 当然この学校の理科室にもそんなものはないが、骨格標本や人体模型だけでも十分に雰囲気は出ていると思う。
 肝試しなんかやったら割と迫力そうな雰囲気。できれば夜に理科室は来たくなかったなぁと真吾はボヤいた。
 クラスの担任であり生物教師の澤井理沙《さわいりさ》先生は、豪胆で旁若無人な所のある変な人だが、夜のこんな場所に一人きりでいられる神経の太さが尋常じゃない。
 理沙は授業がない時間は殆どこの理科室に詰めている所為か、何か実験してそうだと生徒の間で囁かれていたりと兎角エキセントリックな噂の絶えない人だ。
 それを全く意に介さないのだから、澤井先生の胆力には感心させられる。

「こんな時刻に……ったく誰?」

 灯りの漏れている準備室のドアをノックすると、アニメ男性のイケメンボイスのような声が答えた。普段はキリッとしている声だが、今は少し気だるげだ。
 ドアを開けて中に入ると、椅子の背もたれにダラっと身を預けた理沙の姿。三十路とはいえ先生美人なのに……その姿に、終わってるなぁという嘆息にも似た感情に真吾は包まれた。

「何だ滝川に渡辺、まだいたのか。下校時間はとっくに過ぎているぞ」

 やや眠たそうな切れ長の眦がこちらの方を向いた拍子に、顎までの長さのワンレングスの黒髪がサラリと流れる。

「わかってます。ちょっと先生に見て貰いたいものがあって……」
「見て貰いたいもの……?つまらんものだったら減点するぞ」
「えぇ~……」

 ギロリと睨まれて、真吾は笑顔を引き攣らせた。
 背もたれから身を起すのもおっくうだという風に、頭だけをこちらに向ける理沙。組まれた腕に添えられた指をトントンとさせながら、眉間に薄っすらと皺を寄せる仕草は、不機嫌さ満載で生徒相手でも隠す気ゼロだ。

「私は一日の終わりで疲れてるんだ、さっさと出せ」
「はいぃっ!実はこれなんですけど……」

 不機嫌を露にする理沙の声色に、思わず返事が裏返ってしまう。
 真吾は取り付く島が無い強気なタイプの女性は苦手だ。用をさっさと済ませて退出したい心境に、真吾は既に駆られていた。
 理沙の目の前にある教員机の上に、先ほど回収した謎の生物を袋のまま置く。袋を手にすると理沙は、その袋を色々な方面へ向けて点検し始める。眺めた後は軽く指圧してみたりと、感触も確かめていた。

「何だこれは、生き物か?」
「ええ多分……先生にも見覚えってないですか?」
「見覚え?う~ん……タツノオトシゴに似てる形はしてるが――こんな色のヌメっとしたのはいないし、そもそも鰭がないからなぁ……」

 唸りながら潜思する理沙の次の挙動を、真吾と彩夏はじっと待った。
 暫くして――。

「知らないな。見た事もないようだ」

 と理沙はきっぱりと言った。
 理沙にもわからないのならここでの用は済んだ。さっさと帰ろう――真吾は理沙の手から謎生物を回収しようと手を伸ばした。

「――って先生、返してください」

 伸ばした手を理沙がスイっと避けたので、真吾は勢い余って空を掴んだ。

「これ、おまえたち二人で見つけたのか?」
「ええ――まぁ、そうなのかな……」

 答えに困って真吾はお茶を濁した。
 見つけた経緯が気軽に話せるような内容ではなく、絵空事めいた不可思議な出来事まで絡んで――話せるような部分がまるでない。
 表沙汰にされてなくても、存在だけは確認されている可能性もゼロでは無い。高校教師の癖に、学会に所属している理沙なら何かわかるかもと考えて、真吾は理沙を訪ねた。
 彩夏の心情を考えると、何かしら安心材料が知れたら良いなと思ったのだ。

「ふーん……おまえたち二人で……ねェ」

 そんな事情と露知らず、理沙は訝しむように思案した。
 その顔に、真吾は何だか悪寒を感じた。
 
「見つけた場所と状況は?」

 こう来るのか――尋問の如く訊ねられ真吾は返答に詰まった。
 見つけた場所と状況なんて言えるか……!
 これがまだ自分ひとりで理沙を訪ねていたなら事情は違う――だが隣には彩夏がいるのだ。この状況で発見の経緯を教えれば相手が割れてしまうし、彩夏がどう出るかでただの危機的状況が絶体絶命的な状況に変わりかねない。真吾は彩夏を連れて来るのはだから遠慮したかったんだと悔やんだ。
 隣の彩夏をチラリと見ると、彼女も答えあぐねている様子だった。
 困ったように眉根を寄せている彩夏――助けを求めるような弱気な仕草が可愛い。真吾は場違いにも見惚れそうになった。

「何だ、答えられないのか?」

 痺れを切らせた理沙の声で真吾は現実に戻された。
 真吾はこんな時に何を脳内ピンクにさせているんだと自分自身に呆れる。
 視線だけを彩夏に向けると、彼女と目が合う――ちょっと何なのその縋るような目は……真吾は彩夏の視線に苦悩した。だって理沙を相手に誤魔化し切れるとは思えない。こんな時だけ頼ろうとするなんて酷いと真吾は泣きたくなった。

「答え――られません……」
「怪しいな、二人とも様子が変だぞ?」

 睨めつけるように二人の顔をジロジロと覗き込む理沙。
 真吾と彩夏はますます俯いて、理沙の視線から逃げるように顔を背ける。

「後ろ暗い事でもあるのか?答えないと本当に減点するぞ」

 こういう時の教師の脅しは生徒にとって脅威だ。
 実際に減点を受けた生徒がいるという噂もある。特にこういう時の理沙は冗談が通じないので、強ち噂でも無さそうで怖い。
 つま先で床をグリグリと、既に諦めの極致の彩夏の表情。今夜の晩御飯何かな……とか、無関係な事を考えて現実逃避でもしていそうに真吾には見える。
 真吾は一つ溜息をつくと理沙に尋ねた。

「先生は何故そこまで知りたいんですか?」
「世紀の大発見かも知れんだろ?その為には、どんな小さな情報も必要になる。発見された状況も当然だが細かく正しい情報が必要だ……だから知りたいんだよ」

 理沙の目の奥がキラーンと輝く――教師という道に進んだ理沙ではあるが、研究者としての道も諦めた訳ではないのだろう。理沙の旦那さんも学者だったなと真吾は思い出す。理沙も学会に席を置いているので、お似合い夫婦である。
 その目の奥に宿る好奇の輝きが、魚が水を得た事を物語っている。こうなってしまった研究者は手がつけられないし止まらない。非常に厄介な存在だ。
 はあ――と、真吾は深い溜息をついた。
 取り合えずレ●プの事がバレなきゃ――もう良いか?

「委員――いや、渡辺さんの中から出てきたんですよ」
「中から――って口からか……?」

 嘔吐物のように口から出た所を連想したのか嫌な顔をする理沙。
 エイリアンものの真骨頂だな、口から出るのは……って違う。口は口でも、そっちの口ではない。
 どう答えるべきかと真吾は悩む――腹か?
 腹からだと食いちぎって出てくるのがエイリアンの常道だが、そのどちらでもグロいな……そのどちらでもないのは、まだマシだと言えるのだろうか。

「腹っていうか――その~、口は口でも下の口っていうか……」

 結局は仔細を突っ込まれそうだなと迷う心が、言葉も迷わせる。
 まどろっこしいのか、理沙は終にキレてしまった。

「はあ?滝川、はっきり言え!」
「すみません!だから――その~……ち…………膣です!」
「膣ゥ!?どういう状況だったんだ、おまえら……」

 言い淀んでいると、理沙の厳しい眼光に睨めつけられた。
 背筋にビリリと悪寒が走る。

「はっきりと言え!」

 煮え切らない真吾の態度に苛立ったのか、語尾と共にダンと強く床を踏み鳴らす理沙。
 真吾はビクッと飛び上がると、思った。
 怖ェ…………。

「だから――そのぉ、セックスしてたら見つけたって言いますか……」
「おまえらなぁ……学校はラブホテルじゃないぞ。そういう事は他でやれ」

 深々と溜息を洩らし、超絶呆れ顔の理沙。
 学校でなければ良いのかよと、真吾は内心ツッコミを入れた。ここは教師としては怒る場面だと思うが、怒るより先に呆れる所が理沙らしいと言えば理沙らしい。

「まあ、まだセックスで良かった」

 よ……良かったのか?
 何故かホッとする教師らしからぬ理沙の台詞に、真吾と彩夏はに少し呆気に取られた。

「様子が変だから、てっきり猫か犬でも解剖して見つけたのかと思ったよ」

 生物教師らしい(?)理沙の感想にギョッとする。隣の彩夏もかなりギョッとした顔をしていた。
 発想が突飛すぎる、幾ら何でもやらない。そんな惨い事をするような人間に見られるなんて心外だと真吾は少しショックを受けた。

「そ……そんな酷い事する訳ないじゃないですか!?」
「ちょっと、レ●プは酷くないって言うの!?」

 胸に掴みかかりそうな勢いで、火がついたように色を|作《な》す彩夏。
 突然の事に声も出せず、真吾は酷く焦った。
 ええええ!?ここでそれ言っちゃう……!?
 真吾の絶句する表情に、彩夏はハッと気づいたように驚いた。

「――あ、ごめん……」

 彩夏は俯くとポツリとした声で謝った。
 一呼吸してから理沙の怒気を孕んだ冷たい声――。

「――あァん?レ●プとは……どういう事だ?」

 室内が水を打ったようにシーンと静まり返った。
 終わった……真吾は天井を仰ぎ見ながらそう思った。彩夏自身も咄嗟に反応してしまっただけで、本当は暴露するつもりが無い事は真吾も承知してる――が、もう遅い。
 どうするんだよ、この空気……。
 たっぷり三分間――カップラーメンでも出来上がりそうな間の静寂が訪れ、それを破ったのは理沙の呆れ怒った声だった。

「た~き~が~わ~~~!どういう事か説明しろ。最初っからだ」

 理沙の全て話すまで帰らせないという気迫満々な様子に、今日は何時に家に帰れるのかなぁと真吾は嘆息するのだった。

■ |澤井理沙《さわいりさ》

 真吾の通う高校の生物教師で年齢は30歳。既婚者で、旦那さんは学者です。
 少しエキセントリックな人で、豪胆で大雑把で明け透けで教師とは思えない破天荒な性格をしてます。
 男勝りであっさりしているし、声も男性的なので密かに女生徒から人気があるタイプ。逆に男性には敬遠されるタイプ(笑)
 前作では研究所の生物科の局長でしたが、研究所が今作で消えたので教師として出てもらう事にしました。何故消したのかと言うと、オトシゴ設定が固まった時に「ああ、研究所いらんなぁ」と思ったからですね。紙面と文字数の無駄をなくす為に、消えてもらいました。
 彼女がエキセントリックなちょっとマッド入ってませんか的な生物教師になってくれれば、全て片がつきますんで(物語だから許される少しおかしいご都合的教師)
 身長は168センチ。スリーサイズはB86 W55 H84
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2018/07/20 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(9)ツンデレ委員長は男知らず



 腹を見る彩夏の顔は苦虫を噛み砕いたような、何とも言えない表情だった。
 取り乱していないだけ、彩夏はまだ冷静だと真吾は思った。それでも表情を見ればショックや不安を感じているのは真吾にも理解できた。
 真吾はスマートフォンのウェブ機能で、子宮に巣食う寄生物について検索を掛ける。
 矢張り気になるのか、そわそわした様子で彩夏も手元を覗き込んだ。

「ダメだな。それらしいものは引っかからないや……」
「そうなると、発見されていないか若しくは――」
「うん、発見されていたとしても公開できないか――だね」

 言葉を継いで続けた真吾の言葉に、彩夏も同意するように頷く。
 発見した経緯を見ても常識を逸している。これ一つを取ってみても普通じゃないのに、他に普通ではない出来事が三つも起きた。
 自我を失い教室でオナニーに興じていた彩夏。
 身体を乗っ取る意味不明な存在。
 そして彩夏の腹部の発光。
 ダメ押しにこの生物だ……。
 これらは全て関係している事なのではないだろうか。若しかして声の目的は、まさか本当はこの生物にあったのでは――。

「……まだ居るかもしれない――先生に聞いてみようかな」

 ボソリと呟くと、彩夏が顔を上げた。

「生物の澤井先生に?」
「うん……このまま先生の所に寄ろうと思う」

 手持ちの袋に謎の生物をしまいながら教室を出ると、彩夏も後を追うようにして教室から出てきた。

「私も行くわ」
「――エッ!?」

 あまりに意外すぎて顔に少し出てしまった。来なくていいのにという表情が。

「それはちょっと困――いや……何でも」

 咄嗟に不満を言いかけて、真吾はち消すようにすぐさま愛想笑いを浮かべた。

「へぇー……不満なの」
「い……いや、そんな事は……」

 しっかりと聞かれていたようで、それを見咎めた彩夏の機嫌が悪くなる。
 ブリザード吹きすさぶツンドラ荒野を感じさせる彩夏の冷涼な声が真吾を貫く。
 うわぁ――冷たぁい……。
 すっかり普段通りの彩夏の顔を目の当たりにした真吾は、さっきはあんなに可愛かったのにな……と、抱かれていた時の彩夏と今の彩夏のあまりの温度差に震え上がる。
 矢張りクラスを纏め上げる手腕は伊達じゃないなと真吾は思った。

「わ――わかったから、そう睨みつけないでよ……」
「睨まれるような事をしたからでしょう?」
「ぐ……っ」

 言葉に詰まって真吾は拳をグッと握る。
 彩夏だって教室なんかでオナニーしていたのだから、悪いのはお互い様だと思う。なのに自分だけを悪し様に言うのはどうも納得がいかない。

「ねえ委員長、聞きたい事があるんだけど」
「何……?」

 すっかり普段のクールな横顔の彩夏に、その顔がいつまで保つだろうと真吾は思った。
 彩夏は割りと羞恥的な事に耐性がない。予想では、次には壊れるんじゃないだろうかと真吾は内心ニヤリと笑う。

「どうして教室でオナニーしてたの?」

 真吾の言葉に、たっぷり沈黙を置いて答える彩夏の顔は呆気に取られていた。

「…………は?」
「いや、は?じゃなくて――オナニーだよオナニー。一人エッチでもいいけど。教室でオナニーとか勇気ありすぎ――」
「ちょ――ちょちょちょ、ちょっと待って!」

 想像通りの早さに、真吾は内心クククと笑ってしまった。
 彩夏の顔は茹蛸のように真っ赤になっていた。完全に冷静さを欠き動揺する彼女は、見ていて可愛らしい。

「話が全く見えないんだけど!?」
「若しかして委員長、記憶がないの……?」
「何がよ。あ――でも待って。確かに日誌を書くの止めてから以降の記憶がないかも……」

 彩夏の話を要約するとこうだった。
 確かに今日は、昼休み頃から体調は優れなかった。学級委員長会議の後、教室で日誌の残りを書いていたら、その容態が日誌を書いてる途中で急に悪化した。
 状態としては身体がだるく、熱い。発汗も酷くて――風邪かなと思った彩夏は、家に帰る事にしたようだ。
 片付けをしているその途中からの記憶がないと彩夏は話した。

「そっか。委員長はその時にオナニー始めたわけか――で、僕に見つけられたと。じゃあ委員長はオナニーした記憶が全くないんだ?」
「あ――あるわけないじゃない!何度も何度もオ……オ、オ、オ、オナ…………もう!だから言わないで欲しいの!!」

 ギュッと吊った眦が恥ずかしさからか潤んでいる。
 一度元に戻ったクールな顔は、跡形もなく消えてしまっていた。

「委員長ってオナニーって言えないんだ、意外と可愛いんだね」
「――っか……かかか、かっ、かわ…………!?」

 まじまじと見つめてそう言うと、彩夏の顔はカーッと茹で上がってしまった。
 まるで処女のような初心な反応。さっきまでは彩夏は本当に処女だったが、恥ずかしい言葉も可愛いと言われる事にも、彩夏は本当に慣れていないようだった。
 可愛い過ぎるだろ、この反応……。
 これで淫語を使ってセックスを強請った事まで教えたら――どうなるんだろうかと、真吾は思った。

「滝川くんはそれ――を見て、私を襲ったの?人の意識がない時にそんな事するなんて……」
「軽蔑する?でもさ、男から言わせたらあんな場所でやってるのが悪いってなるんだぜ?」
「他の男子も同じ事をするって滝川くんは言いたいの?」

 少し含みのある刺々しい彩夏の声は、他の男子は違うとでも言いたげだ。
 毎日のように接しているクラスメイトを信用したい気持ちがそうさせるのかもしれないが、その思考はかなり危ないと指摘せざるを得ない。
 甘いな。男を知らな過ぎる……委員長をやっている割に、彩夏は意外と世間知らずだ。男に縁のなさそうな雰囲気もあるし、男女間については本当に世間知らずなのかも――真吾は溜息を洩らした。

「思うね。全員がそうだって言うのは暴論だけど、大概の男はそんなものだと思うよ。衝動を抑えられるかどうかは、どういう理由で理性が働くのかに依るんじゃないかな」

 眉を片方だけピクリと上げて、彩夏は得心がいかない顔をしている。

「あ――言っておくけどさ、僕も最初は思い留まっていたんだぜ?」

 思いっきりジト目で真吾を睨む彩夏。
 彩夏だって拒まなかった癖に――と、真吾は思ったが口にはしなかった。

「確かに――途中からは僕だったよ。それは認めるよ……でも最初に君を犯したのは僕じゃない、別の誰かだ」
「まだそれ言ってるの?そりゃあ、話し方や雰囲気は全然違ったけど――」
「さっきも言ったけどさ、あいつには何か目的がある――多分あの生き物に関係してるんだと思う」

 彩夏は思案顔で、真吾の方を一瞬だけチラリと見た。

「――身体が白く発光した事も関係あるのかな……」
「多分ね。幾ら何でも偶然が重なり過ぎだし、全て関係があると考える方が自然だ――きっと変だった委員長の様子も、何かしら関係があるんじゃないかなぁ……」

 彩夏はこちらを見ずに、少し俯き加減で言った。

「だ……だからって、まだ信じた訳じゃないんだからね!」

 ややムッとした調子で言う彩夏。
 俯く彩夏の顔は、少しだけ赤かった――テレてるのだろうか。

「わかってるよ……仕方ないよね、現実的な話じゃ無いもんな……」

 真吾はきまり悪そうに薄く笑むと、それ以上は何も言えなくなった。
 二人の間を沈黙が襲い、バラつきのある足音が廊下に響く。
 まだ午後6時を過ぎたばかりとはいえ、季節は11月半ば。日が落ちるのはあっという間で、窓の外はすっかり夜の帳が下りて既に暗い。
 奥に向かうにつれ闇を深めている廊下は、昼の騒々しさが懐かしく思えるほど静か。その静けさが余計に薄暗さを増幅させているような気さえする。

「滝川くんってさ……」

 隣を歩く彩夏が唐突に口を開いた。
 彩夏の方に顔を向けると、彼女も真吾を見ていた。思い切り目が合ってしまい、ほんの少しだけ真吾にテレが浮かぶ。

「もっと無口で暗い人なのかと思った」
「はっきり言うね。まあ――そう思われても仕方ないかな。教室じゃ僕は殆ど話さないもんね」

 彩夏の総評にホモが混じっていない事に真吾はホッとした。
 中学校までその流言飛語には迷惑したものだ。高校生活までこのデマに踊らされるのはご免である。
 誰が流したものなのかはもう確かめる術はないが、デマの所為で女の子は近寄らないし男の先輩に変にベタベタ絡まれるし、いい思い出が全くない。
 お陰様で、肉体はそこそこ鍛えられていた。
 何故かと問われれば、男に襲われても逃げ出せるように鍛えたに決まっている。男を狙う先輩なんて運動部系のヤバいのが殆どだ。

「割と話すし、意外と話しやすいから少し驚いたわ。何で普段からそうしないの?」

 どうしてと問う彩夏は本当に疑問に思って聞いているようだった。
 会話の苦手な人間の心理なんて、ある程度は決まっていると思うのだが。
 人と話す事そのものが苦手か、極度の人見知り。
 どうしてと感じるのは、できる事を当然の事と認識しているからだ。
 委員長である彩夏は対面で臆するような事はきっと、無いのだろう。臆する事もなく他人と接する事のできる人が、羨ましいと真吾も思っているし、そうなりたいとも思ってはいる。
 とは言え思っていればできるようになるというものでも無い。

「別に猫被ってるとかじゃ無いけど、打ち解けてない人と話すのは苦手なんだよね……」
「ふ~ん……人見知りなんだ。普通に話してるけど私とは打ち解けたの?」

 首を傾げた瞬間にパラリと落ちた髪を耳に掛け直しながら、彩夏は真吾の顔を少し上目使いで覗き込んだ。
 女性らしい不図した仕草にドキリとして、思わず真吾は目を逸らす。
 そういえば……確かに緊張もなく普通に会話しているなと真吾は思った。
 殆ど会話をした事の無い女子との会話など、普段ならすんなりとはいかない。
 そもそも今まで気にするゆとりも無いほどバタバタしていた。説明し終えた後はもう、彩夏とエッチする事しか念頭に無かったのだから、緊張する余裕の方が無かったようなものだ。
 今では彩夏をからかうゆとりすら、心に感じるのが真吾には驚きだった。

「そうかもね。身体が繋がったついでに、心も繋がったんじゃない?」
「ば――バカじゃない!?」

 打ち解けたついでに軽口でからかうと、彩夏は顔をカーッと染め上げた。
 不意に怒らされた顔が不器用に眉を吊り上げて、何とも愛らしく感じる。

「バカじゃないって、ツンデレかよ……プッ、可愛い」

 思わず吹き出してしまった。
 ムッと脹れると彩夏は気分を害したようにプイッとそっぽを向く。
 子供のような拗ね顔に、笑いが更に込み上げる。耐えかねたようにプクククと笑うと、彩夏は今度は剥くれてしまった。

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2018/07/19 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(8)どうなってんの!?衝撃的な初エッチ

 真吾は繋がったままのペニスを軽く二回、小突いた。
 軽く突いただけだというのに、彩夏の身体は衝撃を倍にしたような感度を得たのか、大袈裟なくらいに大きく跳ねた。

「――ぁん!!あ……やめて、動かさないで……ッ」

 酸欠の金魚のように口をパクパクとさせて、押し寄せる甘い衝撃を受け流すのに一杯一杯の彩夏。
 汁でたっぷり満たされた蜜壷が、グチュグチュといやらしい悲鳴を上げながら、愛しくて堪らない恋人を抱擁するかのようにペニスをギュウっと締めつける。

「――んッ、委員長……」

 はじめて知る女性器の強烈な刺激に、背中がゾクゾクする。声を抑えられないような心地良さに、真吾は僅かに切なそうな吐息を洩らした。
 深い所をグッと抉ると擦れあう二人の性器が伝えてくれる。奥の方が微かにピクピクと震えて、経験のない真吾にも彩夏の切ない状態が理解できた。

「ビクビクしてる……止める方が身体にとっては拷問なんじゃない?」
「バカ……言わないで……ッ」

 怒りを露にする彩夏は、自我のない時と違って生き生きと婀娜やかな雰囲気だ。薄っすらと濡れた眦にキュッと顰められた眉。快楽に艶めく頬が何とも色っぽく、悔しげに感じ入る顔が堪らなく可愛い。
 自我を持つとこんなにも表情が変わるものなんだと真吾は驚いた。

「凄く感じてるね、委員長。膣《なか》……凄いよ、熱くてグチャグチャだ」
「ふざけないで……んん!やっ、やめて滝川くん……!」
「蕩けてる……ヤバいな、僕が逝かされそうだ」

 ペニスが熱さに蕩けてしまいそうな心地だ。彩夏の性器はツブツブとした感触が凄まじく、擦っただけでヤバいくらいの快感が襲ってくる。
 彩夏の腰をグイッと抱き寄せると、真吾はペニスをいったん雁首あたりまで引き抜いた。引き戻した瞬間にヴァギナの僅かな隙間から零れるように溢れる愛蜜。
 女の子らしい白くむっちりとした太腿や尻が猥らに濡れて、溢れ伝った愛蜜はぽたっと床に落ち、教室の床を点々と汚した。

「ちょっと待っ――きゃっ」

 グラグラとする体勢が危ういのか、真吾の肩に思わず手を掛けてしまう彩夏。僅かに悔しげに唇を噛んで、困ったような複雑な表情を赤面した顔に浮かべた。
 気の強そうなその表情が可愛いな――クスッと笑いながら真吾はその手を取ると、自分の首に回させる。
 強引に首に手を掛けさせられて、思わず従ってしまった彩夏は、何とも釈然としない顔。

「ごめんね。僕も……ちょっと我慢できない」

 甘えるように囁くと、彩夏は焦ったような声を上げた。

「滝川くん、ちょっと待ってよ……」
「ごめん、待てない。委員長とヤりたくて堪らないんだ……」

 言い終わるとすぐに、強くペニスを突き挿れた。

「あぁああ~~~ッ!!やっ……たきがわく……ッ!!」

 強すぎる衝撃に耐え切れず、腕の中の細い身体が踊るように跳ねた。余韻がすぐに冷め遣らぬのか、柳腰が苦しげにビクビクと痙攣する。
 その余韻の終わらぬうちに、真吾は再び切なく疼く場所をピンポイントで責める。そのまま腕の中で踊るように揺れる腰を強引に抱き寄せながら、真吾は彩夏の膣《なか》で苛烈にペニスを抽挿させると、彩夏は肢体を大きく仰け反らせた。
 強く激しい蕩揺に、記憶が飛びそうな程の快美感の波が彩夏を揺さぶり翻弄する。真吾にしがみつく事しかできない彩夏は、振り落とされまいと首に回した手に力を込めて、拒む事も忘れてただ縋りつく。
 彩夏の体躯を真吾は包み込むように腕を回してやった。

「だめっ、激し……ああっ!滝川くんダメぇ、あっ!あっ!ああっ!!」

 火傷しそうな程に熱を帯びた膣肉がぴったりペニスに吸いついて、引き抜く度に追い縋るように着いてくる。ツブツブとした感触がペニス全体に絡みついて、その快感は肉凶器に相応しい。雁首の溝をも埋め尽くし、チリチリと焼けつくような快感が腰を熱く痺れさせた。
 込み上げる性衝動に腰の動きがだんだん早くなる。
 真吾は誘惑的に視界で揺れる双峰を揉み上げ、その頂きで存在を主張するように膨らむ蕾に舌を這わせた。

「やっ――あんっ!あんっ!たきがわ……くん、ダメ。あっあっあっ……そんな、くううッ!動かれたら……私…………!!」

 きゅううううと強くペニスが締め上げられ、同調するように首に回された腕にもギュウと力が込められる。
 必死にしがみつく彩夏は何だか甘えているように真吾には見えた。
 普段の彩夏から甘える姿は到底、想像ができない。
 誰からも頼られる彼女は、いかにも甘えるのが下手そうなクラスの委員長。いや多分、そうなではなく本当に下手なんだと思う。頼られる事に慣れてしまった人は、総じて甘えるのが苦手だ。
 素の彼女はこんなにも可愛いのだから、甘えた姿はもっと可愛いと思う。

「イっていいよ。僕もイきそうだから」
「――や……っ」

 潤んだ瞳を瞬かせながら、イヤイヤするように首を振る彩夏は、クラスメイトの男子に逝く姿を見せるのが恥ずかしいのだろう。恥らいに頬を染める、何とも女の子らしい表情にキュンとしてしまう。
 真吾は彩夏を逝かせてあげたかった。ちょっとした偶然でなし崩し的に抱いているとはいえ、自分の欲望だけを発散させるだけなのは、真吾のアイデンティティに反する。
 満足させるも甘えさせるも、同じ意味だと真吾は思った。だから彩夏を逝かせてあげたい――。
 腰を抱く腕に力を込めて彩夏を抱き上げると、真吾は彩夏と対面座位になった。
 同じ高さで彩夏と視線が絡み合う。
 チラチラと揺れる彩夏の瞳を真吾は見つめながら、髪を掻き上げるように項から後頭部へと撫で上げる。サラサラとした彩夏の髪が指を滑るように流れて、心地良い感触が肌を撫でた。

「可愛いね委員長、恥ずかしいの?」

 子供のような幼気な表情で、ツンと目を逸らす彩夏。思い置くように眉を顰めて、拗ねているようにしか見えない姿が何とも可愛らしい。
 頭を抱き寄せてやると、彩夏はしな垂れ掛かるようにその身を真吾に預けた。自分が強引にさせたにせよ、彼女が甘えてくれているようで真吾はちょっとジンときた。

「僕はイって欲しいと思ってるんだから、恥ずかしがる必要なんてないのに」

 胸に感じる彼女の重み……その重みを支えながら、柔らかな肢体を真吾は抱きしめる。
 髪を優しく撫でつけてやると、素直に感じ入るのが恥ずかしいのか、困ったように顔を顰める彩夏。それでも大人しく撫で続けられている所を見ると、その手を心地良いとは感じてくれているのかなと、真吾は切なそうな笑みを浮かべた。

「ね?だから一緒にイこ」

 彩夏の耳元で、真吾は甘く囁いた。
 耳珠を口づけるような近さで囁かれる、まるで愛撫のような甘い響き。暖かい息と痺れるような声の響きに、思わずうっとりとしてしまう彩夏。
 しかしこそばゆいのだろう。逃げようとする彩夏に、それを逃がすまいと追いかける唇が彼女の耳朶を食んだ。

「あん……っ!」

 眦をキュッと細める彩夏の唇から切なげな吐息が漏れる。
 真吾は耳朶を食みながら、優しく囁いた。

「僕以外に誰も見てる人はいないから、素直に感じていいんだよ。委員長――」

 ヴェールを一枚一枚剥がされていくように、身も心も剥かれて拒む意思を完全に削がされ、彩夏は完全に真吾の術中に堕ちた。
 彩夏が既に受け容れ、拒むゆとりも全く無い状態にあるのに真吾も気づく。真吾はそのまま彩夏の身体をズンと突き上げた。

「うん――――ッ!!ふ…………深い。滝川く――――」

 体幹をビクビク震わせながら仰け反る彩夏は、深すぎるペニスの圧迫に息ができないのか、開いた唇がプルプルと震えていた。
 見開かれた双眸は陽炎のように揺らめき、開いた唇からは艶めいた吐息が零れてとても悩ましい。
 クラスの女委員長が、クラスメイトの地味系男子である自分に犯され、いやらしく乱れる姿に堪らなく昂ぶりを感じでしまう。
 真吾は腰を強く抱き寄せながら、その昂ぶりを衝動のままに彩夏にぶつけた。
 男性特有の骨ばった指ががっしりと柳腰を掴み、逃げる事を許さない。固く膨張した肉杭が何度も何度も打ち込まれて、打ちつけられる度に彩夏の体躯がビクビクと跳ねる。

「激……激しいッ!滝川く……あっあっあっあ~~~っ!!」

 彩夏は突き上げる切なさに、顔を涙でくしゃくしゃにさせた。
 根元から先までキュウっとペニスを締め上げる膣肉の強い感触。今まで感じた中で一番の強い締めつけに、腰がゾクゾクとする。
 迫る射精衝動に自然に抽挿が苛烈になった。

「だめっだめっだめっ滝川くんダメェ…………あんっ!そんなにしたら…………イク、イっちゃう!もうだめぇ!!」

 彩夏の感極まる声に同調するかのように、忙しなく伸縮を始める膣道の動き――耐え難い誘惑が真吾の腰を直撃した。

「クッ――僕もう我慢が…………ッ」

 膣《なか》で射す訳には――衝動を何とか抑え込んで射精を耐える真吾。だが凄まじく耐え難い射精の快美感だ。
 今しも絶頂を迎えようとする彩夏は、自身の絶頂衝動に一杯で全く聞いておらず、昇ってくる未知の感覚に陶酔して離れてくれそうにない。
 全身を鳥肌がブルリと駆け抜け、真吾は我慢の限界に達する。

「間に合わない……ごめん委員長、射すよ……膣《なか》に射すよ!?」

 そこまで言うのが精一杯だった。
 言うやいなや、真吾はペニスを深く突き挿れた。
 コリッとした感触を鈴口に受けながら、抑え込んでいた生殖衝動をすぐさま開放させる。ビュルルルルルッ――まだ誰にも汚されていない彩夏の膣道を走る真吾のスペルマ。鈴口から鉄砲水のような勢いで飛び出し、子宮口へと無遠慮に注ぎ込まれてその中を汚していく。
 子宮から溢れた精液が|膣《なか》をたっぷり満たし、膣道もその生殖行為に応えるように伸縮を繰り返しながら、膣に溢れた白濁液を子宮へと再び運び込む。

「当たってるゥ、当たって…………だめだめだめ、滝川くうん……ああっ!!ああああぁあぁぁあぁぁあ――――――ッ!!!!」

 射精を子宮に受けながら彩夏は絶頂を迎えた。
 ペニスから精液を搾り取るようにギリギリと締め上げる彩夏の蜜壷。
 堪らない刺激に真吾は深く吐息を洩らし、最後の一滴まで絞り射すように膨張を突き挿れながら、切なく甘える肉に擦りつける。
 彩夏は絶頂の深い余韻がなかなか治まらないのか、真吾のペニスに貫かれたまま柳腰をビクビクと震わせていた。

「ちゃんとイけたね。良かった……」
「――何よ……何なのよ、もう。バカぁ……」

 囁きながら、猶もビクビクと震えている彩夏の肢体をやんわりと抱きしめる。
 彩夏は悔しげな顔を恥ずかしさに引き攣らせて、甘えるように胸に縋りついた。
 可愛い人だな……真吾は思いやるように、彩夏の頭に頬を擦りつけた。

「ごめんね。委員長イきそうだったから、僕はイかせてあげたかったんだ――」

 男としては逝って貰える方が矢張り堪らなく嬉しいものだ。
 女を喜ばせてやる事は男として当然であるし、男の存在意義であり価値だ。
 今はそういう時代であり、セックスに措いては女を逝かせる事そのものが男のアイデンティティ――自己証明だと真吾は感じる。
 真吾の男としてのプライドの高さが垣間見える部分だった。

 ◇

 教室に吐息混じりの二人の呼吸だけが響いている。
 呼吸音を邪魔するように遠くから、子供を帰宅へと促すアナウンスが流れてくる。午後6時を知らせるそのアナウンスは、ドヴォルザークの「家路」と共に、小さなエコーを伴い耳に微かに届いた。

「何だ……これ……」

 真吾は、彩夏の身体を突如として包む光を茫然と見つめた。
 窓の外は夕日に代わり月が昇ってきていた。
 まるで青黒いインク瓶を返したように、教室に忍び込む夜の闇――その闇を、まるでその部分だけ切り取ったように、彩夏の身体が白く浮いている。

「な、何これ……この光、私から出てるの……!?」

 絶頂の余韻が引いたのか、それとも驚きのあまり余韻に浸る事も忘れたのか……彩夏も戸惑いの声を上げる。
 良く見ると、その光は腹部から放たれているようだ。

「どうやら……そうみたいだ……」

 目を開けられないという程に眩しい光ではなかった。
 だが、直視するにも少し眩しい。
 淡く少し儚げな、蛍を思わせるような優しい光。
 その光は二人の顔を仄かに照らしながら、やがて命が燃え尽きたかのようにだんだんと弱くなっていった。

「消えたな……」

 真吾は彩夏の腹部を唖然と見つめたまま、呟くように言った。

「今の光って滝川くんの所為……なの?」
「そんなの――僕にもわからないよ」

 真吾もこう答える事しかできなかった。
 だって理解できない。
 今日だけで日常から逸脱したような出来事がポンポン起き過ぎていて、いかに真吾が不可思議な事に寛容でも流石に着いていけない。
 茫然と深慮する真吾を、納得のいかない不安な顔の彩夏が見つめていた。
 真吾はそれに気がつくと、ぎこちない微笑みを浮かべる。その微笑みに釣られたように、彩夏も硬い笑みを返した。

「そろそろ身体も落ち着いたみたいだね」

 真吾はペニスを彩夏の身体から、引き抜いてあげた。
 ドクリ――膣口から溢れ出る白濁液。トロリと尻を伝う精液の筋がエロティックで、こんな事があった直後だというのに、真吾は少しぞくぞくとしてしまった。
 しかしそれを見た彩夏はギョッとする。
 凝視している彩夏の顔がじわじわと赤く染まっていく。
 彩夏のこの様子……若しかして膣内射精に気づいていなかったのか。

「た――滝川くん!ななな……なかっ……|膣《なか》出ししたの!?」

 顔を真っ赤に激昂させてどもる彩夏。
 何だか逆に可愛いと真吾は思ってしまった。こんな怒り顔の彩夏を、クラスの奴は誰も見たことないだろうな。
 普段とは全く別人のような顔で怒る彩夏は、真吾の目に魅力的に映った。きっとこれが彼女の素の姿なんだなと、その姿を自分の前で出してくれた事が、真吾はとても嬉かった。
 真吾は悪びれない様子で、未だ怒り顔の彩夏に微笑んだ。

「だって委員長キツく抱きついて離してくれないし、我慢できないって言ってるのに聞いてないし、だから――仕方なくない?」
「なくないわよ!んもう、信じられない~!」

 潤んだ眦を釣り上げて地団太を踏むような彩夏の癇癪は、親近感が沸いて真吾には身近に感じられた。
 真吾が身近に感じられた女の子は、これまでは妹と幼馴染くらいだった。怒っていても、いや……怒っているからこそ感じるものなのかもと真吾は感じた。
 ティッシュで精液を拭ってあげていると、真吾は変なものを見つけた。

「あれ?何だコレ……」

 閉じたヴァギナを押し開くように、薄桃色をした何かが膣口からモコリと顔を出した。
 細長い所があったのでそこを摘んで引き吊り出すと、目線まで持ち上げてじっくりと観察する。彩夏も顔を寄せて、摘み上げた物体を見つめた。

「何よこれ……い、生き物……?」

 膣《なか》出しのショックも忘れて、気色の悪そうな顔でソレを見つめていた。
 彩夏の言うように確かに生き物に見える。
 タツノオトシゴのような形状をしたソレは、口のような器官はあるのに目はなく、内臓のような薄桃色をした体躯に紫の斑模様がポツポツと浮いていた。外皮はツルっとして、何だかブヨっとした感触がますます気持ち悪い。

「一応、生き物なのかな……もう死んでるっぽいけど」
「何で私の中からこんなものが……気持ち悪い」

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2018/07/18 00:00 | 竜を継ぐ者~黄の刻印の章(世界はエッチと愛で救われる)COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

竜を継ぐ者(7)何とか戻れはしたけれど……我慢の限界です!

 真吾を呼ぶ彩夏の声――。
 遠いような、そうでもないような不思議な距離感で彩夏の声が耳に届く。
 少しだけ必死で、どことなく心配そうな声だった。
 会話を殆ど交わした事もないのに、何故そんなに心配そうなんだ……。

「――ちょ……滝川くん!?」

 起さないでくれないか。
 何だか気持ちが良いんだ……。

「滝川くんってば!」

 もう一度、聞こえてきた。
 今度は少しだけ近い。
 煩いなぁ――どこから聞こえてくるんだ……。
 そう考えた時、肩が大きく揺さぶられた。
 真吾の意識はその刹那に、深淵の中から一気に引き上げられてしまった。

「ッ…………」

 重い瞼が離れたくないとダダをこねるように戻ろうとする。
 うう~……重い。
 閉じようとする瞼を邪魔するように、再び揺らされる肩――ちょっと、少し乱暴なんじゃない?
 もう少しだけ優しく揺らして欲しいと、心の中で愚痴る。
 仕方なく真吾は、目を開けるしかなかった。

「……ん……」

 まず目に入ったのは、色白で柔らかそうなおっぱいだった。
 何で目の前に女性の裸の胸があるんだろう――ぼんやりとする頭で、矢張りボーっと考える。
 あ、そうかこれは夢か。そうに違いない。
 日頃から彼女欲しいとか、女の子とヤりてーだとか考えてるからこんなモノを見るのかと、真吾は思い込む事にした。だけど女の子のおっぱいを夢にまで見るとは……重症な欲求不満だな。
 頭を預けたまま柔らかい脹らみに唇を押しつけると、真吾はチュウと吸った。
 うっは~!ヤバい、柔らか~い……ふわふわモチモチな感触が何ともリアル。
 凄い夢だな……。
 頂点の蕾を摘んでコリコリと揉みながら、チュッチュッと遠慮なく脹らみに何度も口づけると、頭上から女の子のちょっとエッチな声、それから……。

「ちょ……あっ、滝川く……も~!あんっ、やめて、いい加減にして!」

 怒ったような声がそれに続いた。
 声の方に頭を向けると、真吾を怖い顔で睨みつける赤面した彩夏のアップ。

 「――え、委員長……!?」

 どうして彩夏のアップが目の前に……。
 それに気づくと色々な事が思い出されてきた。
 そうかさっきまで、自我のない彩夏にエッチな事をしてたんだ――という事は?
 夢でも何でもなく今現在、手にしてるのは彩夏の生のおっぱい。そしてこれは現実で……そこまで考えると血の気が引いた。
 ひ~、自我のある本人を目の前にエッチな事をやっちまったぁ……焦った真吾は、生乳から慌てて手を離した。
 いやもうこんなの……笑って誤魔化す以外に思いつかない。

「あ、え!?え~と……アハハ、おはよう委員長」

 すっとぼけたような真吾に、彩夏は苛立ちも露に眦を釣り上げた。
 あわわわ、いきなり生乳に吸いついたのはマズかったなぁ……。
 真吾は決まりが悪そうに苦笑するしかなかった。

「目が光ったと思えば気を失ったみたくなるし、起きたかと思えばこんな事するし……寝ぼけてんの!?」

 ヤバい、メチャメチャ怒ってる……。
 何がどうなったんだっけな。どうも頭がはっきりしない。
 頭ははっきりとはしないが、勃起したペニスが未だ彩夏の膣《なか》に存在するのは流石に理解できた。
 だって感触がめちゃくちゃヤバい……暖かい肉感は、僅かでも動けば堪らない刺激を腰に伝えてくれる。
 本能としてはこのまま腰を猿のように振り立てたい所だが、何も弁解しないまま欲情に走るのは如何なものか。ただでさえ激昂している彩夏の怒りを、余計な事で逆撫でたくない。

「い――いや、そんな事は……あ――そうか思いだした」

 今までずっと身体の内にいたんだった。
 真吾はあれからの事を漸くはっきりと思い出した。
 あの変な声に身体を盗られて動けなかった事や、自分の肉体に精神が閉じ込められていた事、そこから出る算段を試した事を思い出す――。
 彩夏が犯されている間中、牢獄のような身体の内から何とか出る方法はないかと、思いつく限りの精神集中を試みた。
 精神修行なんて練気を中学の時の部活で少し修練しただけだし、ほぼ勘だし……正直、成功すればラッキー程度のノリでしかなかった。
 修験者だとか、まともな武道家でもないのに良く成功したと思う。成功したから良かったようなものの、もう一度試せと言われてもできる自信はない。
 どの方法が上手くいったんだろ……。

「ところで目が光ったって……何?」
「突然クラクラした様子になってね……そうしたら、滝川くんの目が金色に光ったの。光はすぐに消えたけど、そしたら今度は倒れて――」

 光が消えて倒れた――って、若しかして出るのに成功した瞬間なのか……?
 その後の記憶は、ほんの僅かの時間だが確かに切れている。
 だとしたら辻褄から言っても、矢張り成功した瞬間なのだ。
 しかし目が金色に発光とは……猫じゃあるまいし今までに無かった。両親からもそのような話は聞いた事が無いし、今以前にそんな事が起きた記憶は、覚えている限りでも無い。
 内にいるであろうあの声といい、自分の中で何かが起こっている。だが真吾がどうこうするにも、糸口になりそうな|秘鑰《ひやく》がない。

「――って、何も覚えてないの!?」
「う~ん……いやさァ実はその時、身体を盗られて僕は自分の内に閉じ込められてたんだよね」

 呆気に取られたように、ポカーンとしている彩夏。
 気持ちは理解できる。真吾も正直、同感だ……自分の事ながら、上手く説明できる言葉がない。

「目が光ったって時、僕はちょうど牢獄のような肉体の内から脱出した時だったんだと思う。そこからの記憶が確かに途切れてるし……」

 話していけばいく程、胡散臭いものを見るような目つきに変わる。これは絶対に信じてくれていない。
 事実を話しているのに、いかにも現実的そうな彩夏に非現実的な話を信じろというのは難しいのかもしれない。

「その顔、全く信じてないよね……まぁ理解できるけどさ、僕が変な事を言っているのは。どう説明したものか、僕もちょっと悩んでるんだよ」

 どう説明したものかと思案している真吾を見ている彩夏の表情は、いかにも怪しいものでも見るような不機嫌な顔だった。
 上手い説明も思い浮かばず、雰囲気はまさに膠着状態。これ以上どう説明したら良いのだろう……。

「その時から委員長に起されるまでの記憶は確かに切れてるんだけど――」
「な――なら私をレ●プしたことは……!?」

 険しい顔で真吾に詰め寄る彩夏。
 ですよねー……彩夏が一番怒る理由なんて、それを措いて他にない。
 こうなるから襲うのは嫌だったんだ……と、心で真吾は嘆息した。

「――ごめん。身体の内から見てたから、知ってる……」

 犯される現場を目撃した後ろめたさと、そうなる前に肉体へ戻れなかった不甲斐なさ。かける言葉も思い浮かばずに真吾は押し黙った。
 結局こうなってしまうのなら、最初から拒まなければ良かったのだろうか。そうすれば説明がつけられず苛立つ事も、不甲斐なさに気が咎める事もなかった。
 彩夏にとっては中身が違うだけで、犯す肉体は同じだ。
 それに処女の女の子を折角抱いたのに、全くその体感を味わえなかったのはちょっと残念だ。なんて事を彩夏に知られたら逆上されそうだが、興味があるのはどうしようもない。
 仕方ないよね、男だもん。

「君を犯したのは僕の身体ではあるけれど、中身は僕じゃない……」
「ならこの身体は誰のだって言うのよ!」

 彩夏は真吾の胸をパシパシと叩いた。
 気持ちは理解できるが話が逆戻りだ。真吾は溜息をついた。

「違うんだよ……今の僕とさっきの僕の肉体にいた奴は別人なんだ」
「中身が違う……ですって?確かに雰囲気は違うようには思うけど……」
「僕は何故か身体を乗っ取られて、そのまま身体を誰かに使われただけだ――信じてよ……?」

 彩夏の表情が少し和らいだように真吾は感じた。
 ふんわりとでも人格の違いは感じて貰えたようだ。信じて貰えたかは兎も角、取り敢えず真吾はホッとした。

「入れ替わる前に僕はあいつに、君を犯せと言われたんだ――断ったけど、身体を乗っ取られた。目的はわからないけど、僕に君を犯させたかったみたいだ……」

 彩夏はポカンとすると「何それ」と呟いた。
 何故そうしてまで、自分を犯させるのか彩夏が疑問に思わないはずもなく、その疑問については、真吾にも感じるところがあった。
 信じ切れていない彩夏は詭弁だともまだ疑っているんだろうなと真吾は思った。すぐに信じられる話でもないから当然だし、どうせ結果的に疑われるのならヤらなきゃ損だよな……。
 抑えていた肉欲が疼き始める――そろそろ我慢ができない。
 未だにペニスはしっかりと勃起したまま、彩夏の|膣《なか》に収められている。動かさなくても感じる膣の感触……堪らない暖かさと肉感がヤバい。
 理性はもう限界だ。どうせ疑われるのなら、自分の意思で手を出してから疑われた方がマシってものだ。

「でも、何か意味があるんだと思う。だから――」

 彩夏の顔の血の気が引いた。
 迫る真吾に彩夏も何か不穏な空気を察したようだ。

「だからって何、滝川くん何を考えてるの……?」
「続きをしようか、委員長」

 ニコッと微笑む真吾に対し、彩夏の顔はピシッと凍りついたように固まる。

「そんなに怖い顔をしないでよ。僕もはじめてだから上手くできるかわからないけど、優しくするから……」
「優しくとかそういう問題じゃないってば!滝川くん早まらないで!?」

 硬直から立ち直った彩夏は真吾を懸命に説得する。縋るような目が健気で可愛い。
 普段の彩夏を傍観している身としては、もっと強い拒絶だとか蔑みの言葉だとか、手厳しく拒まれると予想していたのに、真吾の想像よりも意外と大人しい。
 あの声に犯された時はもう少し強気だったし、胸倉を掴んでいたあたり結構な気迫だったように思う。 
 説得を試みながら頬を染めた必死な表情が、普段と違って健気で可憐らしい。

「だって委員長、身体が感じすぎて辛いんでしょ?」
「な…………っ!?」

 頭から盥でも落ちてきたような顔で絶句する彩夏の顔は、恥じらいからか真っ赤に染まった。
 こんな表情もするんだと思うと、もっと色々な彼女が見たいと真吾は感じた。

「ずっと会話は聞こえてたから知ってるよ。ココが大変になってる事もさ……」

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